約 4,455,900 件
https://w.atwiki.jp/hyakukami/pages/1507.html
依頼主 ウェウェコヨトル 出現条件 ウェウェコヨトル第一進化後 クリア条件 以下の神様の親密度を上げるウェウェコヨトル:親密度50 成功報酬 薬草(HP回復)自分のHPが50%程回復し、仲間のHPも25%回復する。大変貴重な薬草 依頼時 冒険する上で大事なのは、やっぱオレとアンタとの信頼関係だよな。もうちょっとだけ、オレに信頼の証を見せてくんねーかな? クリア時 お、アンタなかなかやるじゃん。やっぱ信頼されてるってわかると、テンション上がるぜ!
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3165.html
「アイツか……ッ……アイツが俺たちの居場所をッ!」 「ふざけるんじゃないわよ!」 「ネイティブアルターがッ!」 次々に周りから立ち上がる怒気を含んだ罵声の数々。 それらが集約するように向けられた対象は唯一人……画面の向こうに映っている男、カズマにである。 自分たちの居場所を滅茶苦茶にしてくれた憎むべきネイティブアルター、恩知らずのロクデナシ、疫病神のチンピラ。 憎悪の程度に差はあれど、この場において君島とかなみを除く全員がそんな感情をカズマに向けているのは明らかだった。 「……そんな、カズくんが………?」 呆然と青い顔でモニターを見つめ続けているかなみの姿は、君島には他の何よりも痛々しく映る光景であった。 畜生、アイツが……カズマが必死に隠し通し護ってきたものを台無しにしやがって、そんな悔しさと憤怒の思いが自分の内から沸き立ってくるのを抑えられない。 そう、堪らなく君島は悔しかった。真実を歪められ、一方的に悪党のレッテルを貼られて護ろうとしている存在たちから憎悪を向けられねばならないこの現状が。 君島邦彦には堪らなく悔しかった。それこそ、ふざけるなとこの最低最悪の茶番劇を怒鳴りつけてやりたい気分で一杯であった。 だが、現実には君島は無力な人間の一人でしかなく……… 急に背後より強打される衝撃。思わず激痛に呻きながら君島は膝をつく。 かなみが心配そうな顔で自分の名を呼びながら近付いてくる。 だが、君島の背後には先程自分の背中を警棒で強打したホールド隊員が存在し、 「ぼさっと突っ立てるんじゃない! 早く検査に行け!」 高圧さを絵に描いたような態度で見下ろしながら命令してくる。 検査とはホールドに『保護』された際に何がしかの伝染病等に羅患していないか、それを調べる事を指す。 市街の連中からすれば、自分たちはそうやって念入りに調査しないと安心できない害虫のような扱いらしい。 明らかに高圧的で不当な扱い、そして理不尽な暴力にふざけた報道……もう何もかもが君島にとっては許せないものばかりだった。 そして何よりも許せなかったのは……… 「好き放題やりやがって!」 「ありゃあ確かにカズマだ!」 「あの野郎ッ……俺たちの知らないところでこんなことしてやがったのか!?」 (……違う……ッ……) 「とんでもない悪党だぜ!」 「ネイティブアルターがッ!」 (……そんなんじゃない……ッ!……アイツは―――) 「牢にでも放り込んじまえッ!」 「―――黙れぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええ!!」 遂に我慢の限界を超え、カズマの罵倒に拍車を掛けている住人たちの言葉を遮るように君島は腹の底からの雄叫びを上げた。 ……そう、他の何よりも君島邦彦が許せなかったのはこれだ。 この住民たちが、カズマが護ろうとしていた者たちが……こんなふざけた『真実』とやらの放送に踊らされてアイツを非難していること。 これだけは君島にとっても絶対に許すことはできないことだった。 だってそうだろう? アイツが……カズマがコイツらの無念を怒りに変えて今必死になって痛む腕を振るいながら命を懸けて戦っているというのに。 コイツらはこんな下らない報道に踊らされて、ただ好き勝手な罵倒をアイツに向かって叩きつけている。 アイツが本当はどんな想いで戦っているかも知りもしないで……ッ! あぁ、許せねえ。許せねえよ。こんな不公平で報われない理不尽なんか許せるわけないだろう!? テメエら、俺の相棒を馬鹿にするのも大概にしろッ! そんな思いを込めて上げた咆哮。即座に君島は背後に立っているホールド隊員が持っている小銃を掴むと、隊員の腹に拳をぶち込み動きを鈍らせた後にソレを奪って羽交い絞めにする。 「貴様ァ、何をする!?」 「やめんかッ!」 君島の突然の反抗に驚きながらもホールド隊員たちが慌ててこちらへと詰め寄ってくる。 君島は羽交い絞めにして人質にした隊員を引き連れながら、カズマの映るモニターを背に、この場にいる全員に向かって思いの丈をぶちまける。 「何だよこりゃあ!? ふざけんな……ふざけんなよ、テメエらッ!」 腹の底から搾り出す、無理矢理にでも沸き立つ怒りを勇気に変えて君島はこのふざけた現実に明確な反逆を示す。 「アイツが何の為に戦っているのかも知らねえくせに……ッ!」 大人しくしろ、などと周りを取り囲みながらホールド隊員が居丈高に小銃を向けて言ってくる。 住民たちもまた君島に向けている眼は犯罪者に向けるもののような蔑んだものだ。 だがそれがどうした?……ああ、それがどうした!? 「そりゃあアイツは汚いことだってする! ちょっと気に入らないことがあったら直ぐ人殴るし……この前も薬欲しさにホールドを襲った!」 自らの犯罪を暴露するこちらを気が狂ったとでも思っているのだろう、誰も彼もが君島とカズマを見る目に同情の一つも浮かべない。 ただ、かなみだけが君島の暴露したその真実に目を見開いて驚いていた。 ……悪い、カズマ。バラしちまったよ。 そんなかなみを見て、一瞬あの件を隠し通そうとしていたカズマの努力を無にしてしまったことに罪悪感を抱き胸中で詫びる。 だがそれでも、もはや吐き出さずにはいられない。言ってやらなければ我慢ならない……そんな衝動が君島の内には沸きあがり、止まらなかった。 「ああそうさ! 俺らはクズだよ!……けどな、今アイツが……カズマが戦ってんのはアンタらの為でもあるんだよ!」 馬鹿な男と吐き捨てて。 「何言ってんだ!?」 「その手を離しなさいよ!?」 「お前も仲間だろう!?」 「さっき共犯者とか言われてたじゃないか!?」 クズな男と揶揄される。 「ああ、仲間で悪いか!?」 愚直な生き方否定され。 「アイツはなぁ……アイツは……ッ……貫こうとしてんだ!」 道化は嗤いに包まれた。 「テメエらにそれが分かんねえのかよ!? よく眼ェかっぽじって見ろ!……アンタらがクズだと思ってた男の姿を!」 だがアレを見ろ! 「これが……これが――――」 このクズ、この馬鹿 「―――これがカズマだぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!」 他には―――いない! ありったけの想いを、怒りに変えて君島は反逆の雄叫びを上げる。 住民たちの誰もが、鬼気迫る君島邦彦のその姿に気圧され非難の言葉すら続かない。 男は親友の名誉を守るため、そして自分たちの意地を通す為にその気概を示したのだ。 世にクズや馬鹿は数いれど、これ程までに鮮やかにやりきった馬鹿というのも或いは珍しい。 だが―――現実は非情である。 一発の銃声が鳴り響く。 君島を取り囲むホールド隊員の一人が放ったソレは、君島が同僚を拘束するために使っていた小銃を弾き飛ばし、致命的な隙を生まれさせた。 「このチンピラがッ!」 高らかに何様を気取って叫んでいるのかと、生意気なインナーの反逆を鎮圧する為にすかさずホールド隊員が警棒で君島に殴りかかる。 元よりカズマと違い腕っ節には自信の無い君島である。多勢に無勢に武器持ちということも合わさり、瞬く間に袋叩きにあいそのまま鎮圧されてしまった。 「コイツ、インナーの分際でッ!」 自分たちよりも格下の、それも社会に対して何の生産性も持たないチンピラの生意気な反抗である。ホールド隊員たちには余程癪に障ったのだろう。滅多打ちのボコボコにされ君島が拘束されるのに数十秒も掛からなかった。 「……ッ…畜生ッ……何だよこのクソッタレな放送は!? 一方的にさぁ、自分たちに不都合なことは全て隠してやがる! 何が真実だ―――」 「うるさい! 黙れッ!」 それでも尚も諦めずに喚き続ける君島にホールドたちは容赦なく暴力を用いて彼を黙らせる。 由詑かなみはそんな君島の痛々しい姿と、恐ろしい暴力の光景に怯えながらもずっと画面の向こうに映る想い人を見つめ続けながら考えていた。 (……やっぱり、カズくんはアルター使い) そんな予感が心の何処かにはあったのかもしれない。 彼は普通の人とはやはりあまりにも違う。 初めて出会ったあの時から、どこかそんな風には感じていた。 だからこそ、かなみはカズマがアルター使いだということに多少のショックを受けはしたものの、それを受け入れることは出来た。 それはカズマが最も望んでいなかったことなのかもしれないが、かなみにしてみればそんなことはまったく関係は無かった。 カズくんはカズくん、かなみにとってカズマが何者であろうともそれだけは絶対に変わらない。変わるはずがない。 (じゃあカズくんが出かけてたのは……いつも……) 理由も告げず、何処に行って何をしていたかも教えずに、時たま僅かばかりのお金だけは持って帰ってくる。 カズマは君島と一緒に仕事をしているのだと言っていたが……それが今となってはどんな仕事だったのか、何故自分には教えてくれなかったのかがよく分かった。 アルター使いとしての仕事……それが具体的にどんなものなのかはかなみには上手く想像できない。だがきっと危険な仕事が多かったのだろうというのはよく分かった。 話してくれなかったのも……後ろめたさがあったから? 君島の言った通り汚い仕事とやらにも手を染めてきたから? 違う、そうじゃないとかなみは自身の思ったその考えを即座に否定する。 (わたしが病気になったときも……カズくんは……) 以前に、流行り病で自分が倒れた時、それこそカズマが我が事の様に激しい動揺を見せていたのを朧気ながらもよく憶えている。 そして先の君島の言葉―――薬欲しさにホールドを襲った。 これはつまり……自分の為だったのではなかろうかとかなみが行き着くにはそう時間は掛からなかった。 カズマはそうやって、自分や他の誰かの為にそんな危ない事を続けているのではないのか。 そして先の君島が上げた叫びのように今だって――― 「―――おい、お前も来るんだ」 そう言って直後、こちらの肩を掴んで無理矢理に連れて行こうとするホールド隊員。 咄嗟にかなみは身を捩りながら、嫌だと必死に抵抗を示す。 「嫌ァ! 離して!……カズくんッ!」 何処へ連れて行かれるのかは分からない。だが、此処で彼らに連れて行かれたらもうカズマには会えないと直感的に思ってしまった。 カズマに会えなくなるなどかなみにとっては死よりも望まぬこと。 だからこそ、必死に抵抗し叫びながら、愛しい人の名前を呼び続ける。 その様子を同じように連行されながら目撃した君島が必死に助けようとするものの、ホールド隊員たちに阻まれている。 ここにきて初めて、周りの大人たちに激しい動揺が広がっていた。 かなみの事を皆、我が子のように可愛がっていた大人たちである。カズマ憎しの思いが消えなかろうとも、それとかなみは別のことだ。 だが高圧的な暴力を躊躇い無く振るうホールド隊員たちを目撃している大人たちでもある。 誰だって進んで面倒事を被ろうとも、痛い目を見ようと思わないのはごく常識的な反応だ。 気の毒だと、そう同情的に思いはしたとしてもだからといってホールドに立ち向かえるだけの勇気は今の大人たちにはなかった。 ……そう、ごく一部を除いて。 かなみを無理矢理連れて行こうとし、激しい抵抗に合い手を焼いていたホールド隊員。 彼の後頭部に衝撃が走ったのは、当人にとっては正に不意打ちであった。 「……おばさん?」 呆然と見上げるかなみの眼に映るのは彼女を救った人物―――牧場の取り纏め役の一人にして大工棟梁の妻でもあるおばちゃんだった。 特にかなみに対してそれこそ今まで我が子のように可愛がってくれた人物でもある。 「行きな……行きたいんだろ?」 自分でもやってしまった事の大きさは充分に理解できているのだろう、ホールド隊員を殴り倒すのに使った警棒を持つ彼女の手は震えていた。 だがそれでも後悔はしない、そんな思いをありありと示しながらかなみへとおばちゃんはそう告げてきたのだ。 決して君島の言葉に感化されたわけではない、カズマのことには相変わらず怒りだって抱いている。 だがこの無垢なる少女の願いだけは踏み躙りたくは無い。自分たちの事をいつも立派だと尊敬してくれている少女の思いからは逃げられなかった。 それが勇気を生み行動を起こしたおばちゃんではあるが、当然彼女がそれによって周りへと広めた波紋も大きい。 「あ、お前!?」 「何をする!?」 すぐさま反抗的なインナーの登場と判断したのだろう、君島を押さえつけていたホールド隊員三人の内の二人が慌てて彼女たちの方へと駆け寄る。 だがその瞬間、最初で最後かもしれない絶好のチャンスを逃さない男が一人―――君島邦彦である。 己を拘束している相手が一人になり、そしてソイツ自身も隙だらけとなっていることを即座に悟った君島はすかさずソイツを殴り倒して駆け出した。 向かう先は己の愛車……この場からトンズラする逃げ足の確保である。 「退け退けぇ! アルター使いの仲間だぞ!」 もうどうにでもなれ、そうヤケクソに叫びながら海を割るモーゼの如く人波を突っ切りながら君島は車へと乗り込んだ。 その様子をおばちゃんとかなみを拘束するために駆け寄っていた二人のホールド隊員も気づき、今度は慌ててそちらを捕まえる為に駆け出そうとし――― ―――即座に足を引っ掛けられて、無様に転ぶホールド隊員。 「……アンタ」 おばちゃんが驚いた様子で己の夫である大工棟梁へと言葉をかける。 妻と同じように自身もまたホールドを相手に反抗をしてしまった事を苦笑しながら、しかし棟梁の顔には微塵の後悔も浮かんでいなかった。 女房にだけ良い格好はさせられない、男のチンケなプライドだと示さんばかりの笑みを棟梁は浮かべていた。 そしてそこへ――― 「かなみちゃあああああああん!」 彼女の名を叫びながら突っ込んでくる一台の車両。何を隠そう君島が運転する車だ。 すれ違い様に掻っ攫うように見事に車へと彼女を乗せながら、君島の運転する車はこの場から逃走を図る。 「待て! 止まれぇ!」 そう叫びながら隊員たちの銃火が車を掠めていくが、一向に速度を落とすことも無く、それどころか加速しながら、見事に君島達は離脱を成功させた。 「……良いのかい、これで?」 助手席で震えるかなみに対して、君島は出来るだけ穏やかな口調を保ちながら彼女へとそう尋ねていた。 今更後戻りはできない、それは分かっていたがそれでもこの少女が本当にこれから先もカズマと一緒に居る覚悟があるかは確かめておく必要があった。 「……ホーリーから狙われることになるかもしれない。怖い眼にも一杯合うことだってあるかもしれない」 脅しではなく事実として、此処から先の逃亡生活はそんな厳しいものになるのは目に見えていた。 カズマや君島のような元から無頼の輩は兎も角として、かなみのような年端も行かぬ少女にとってそれはあまりにも厳しい道である。 出来る事なら……自分もカズマもまた彼女をそんな辛い目には合わせたくない。 だが――― 「でも……でもわたし―――カズくんといたい!」 他の誰でもなく、カズマと一緒じゃなきゃ嫌だとかなみはハッキリと告げてきた。 それは恐らく、カズマが望まぬ選択であることは間違いないだろう。 しかし…… 「……ふ、上出来だ!」 自然と君島の表情と言葉に漏れた感情は、喜びだった。 恋する女の子というのは強い。そして何よりも真っ直ぐだ。 ……カズマ、どうやら俺達の負けらしいぜ。 何故かそれを嬉しく、誇らしく思えながら相棒へとお前の嫁さんは強いなと胸中で素直な賞賛を君島は抱いていた。 「待ってください、桐生さん!」 報道されるテレビの内容を見るなり、即座に事務所から出て行こうとする桐生水守を橘あすかは必死に呼び止める。 先程あんな目にあったばかりだろうというのに、幾らなんでも無謀すぎる水守の行動は止めずにいられなかった。 だが、それに対して水守は振り返ることも無く、 「あのカズマという人のところに、劉鳳は必ず来るはずです。私は彼と会って話がしたい」 そう告げてくるのみであった。 だが水守としても、その目的の為に友達の善意を擲ってまでこの大地へと残ったのだ。 折角にできた当てを、チャンスを逃すことはできない。 水守の事情がまったく分からず、訳ありの様子だという以外は梃子でも引きそうに無い彼女の態度を見て、橘もまた仕方が無いと覚悟を決めた。 「……そうですか。―――じゃあ僕も行きます」 同行を申し出る橘の行動が以外だったのだろう、水守は驚いたように彼の方へと漸く振り返った。 だが橘の方はといえば、それに対してもどこか彼女が今まで見たことも無い笑みを見せながらその理由を言ってきた。 「カズマには借りがあるんですよ。……そう、大きな借りがね」 「此処に居ろ、絶対に動くな」 それだけを告げるととある廃墟街の一角の片隅へとかなみを車から降ろす君島。 見栄えは悪いがこの辺りならば隠れられる場所も多い、そしてホールドの目だって直ぐには届かない。 自分がカズマを連れ戻ってくる間くらいならば安全だろうと君島は考えていた。 さて、お姫様の愛しの彼を迎えに行ってやりますかね。そう思いながら君島が車を発進させようとしたその時だった。 「―――君島さん!」 かなみが何処か心配そうな雰囲気でこちらの名を呼び止めたのは……。 何故だろうか、何だか凄く嫌な予感がした。 正体不明の不安……これは自分にではなく彼―――君島邦彦へと抱いたものだ。 何故だろう、根拠なんてまったくない不謹慎極まりないことだというのに。 今、彼を行かせてしまえばもう二度と会えないのではないのかとそんな予感がしたのだ。 だがこちらの不安に対し君島はそれを置いていかれることに対してのものと勘違いした様子で、 「カズマに会いたいんだろう?……直ぐに俺が連れてきてやる。だから此処で大人しく待ってな」 大丈夫、心配ない。そんな風に笑いながら親指を立てて示してくる君島。 違う、そうじゃない。首を振ってそう告げようとするよりも先に―――君島は車を発進させてこの場を去っていった。 由詑かなみはただ呆然と、出発していく君島の運転する車を見送ることしか出来なかった。 事実上、これが彼女が最後に見た君島邦彦の姿であり言葉だった。 『そこのインナー、止まりなさい!』 装甲車のスピーカーからが鳴り立てるように制止の警告を発してくるホールドの追跡者たち。 かなみを降ろした廃墟街を出て暫くして追いついてきた連中のしつこさには正直、頭が下がる。 「かー、真面目に仕事し過ぎだって」 どうして市街の連中というのはああもお堅いのの集まりなのだろうか、そんな呆れたような感情を抱きながら、君島は逃げ続ける。 制止の警告を無視したことで躊躇いをなくしたのだろう、装甲車の先端に取り付けられている物騒な口径のライフルが次々と撃ち出されてくる。 何発かが己の愛車を掠め、傷をつけていく。 人様の愛車になんてことしやがると憤りと、相手の容赦の無さにおっかなさを感じつつそれでも君島邦彦の表情に浮かんでいたのは笑みだった。 ……そう、君島は今笑っていたのだ。 「……ったく! アルター能力も無いくせに、一体何やってんだろうね俺は!?」 所詮はチンピラ。頭が回り口が上手かろうが、それ以上でもそれ以下でもないはずのただの普通の人間。 それこそが自分であるはずだというのに、いったいその自分がこんなところで何をやっているというのか。 金にもならず、命の危機に曝され、得られるものだって恐らくは何も無い。 テンションに身を任せ過ぎて失敗してしまった、そんな典型的な馬鹿者こそが己ではなかろうか。 ……自分では割りと器用に生きてる方だと思ってんだがなぁ、と意味も無く君島は考えていた。 まったくもって愚か者、馬鹿の極地の無謀な行動。 救われねえ……ああ、救われない。 けどな――― 「……けどよ、俺はアイツと出会っちまったんだよな。……ああ、出会っちまった」 アイツ……あの馬鹿との出会いはどんなものだったっけ……なんてな、忘れるわけねえよ。 何せ――― 「――――――――――――――――――ッ!?」 ………何せ、アレが今までの始まりだったんだ。 あの出会いを……始まりを……俺は―――生涯悔いちゃいないさ! アイツの相棒となったこと……アイツと馬鹿を続けてきたこと…… ずっとせせこましく姑息に生きてきた以前までに比べ……何と痛快な事だったか。 「―――だったら、やるしかねえだろうがッ!」 アクセルを力一杯に踏みきり、車を加速させる。 ブレーキは踏まない……踏んでたまるか! 少なくともあの馬鹿なら―――カズマなら絶対にそんなことはしない。 そう、今はビビッて立ち止まる場面じゃない。 振り返らずに、駆け抜ける場面だ―――ッ! 「……それになぁ……こんなチンケな俺にも……直ぐに諦めちまう俺にも―――燻ってるもんがあるのさ!」 脳裏に過ぎったのは他の誰でもなくあの人―――寺田あやせのその姿。 いい加減で軟派ものな自分だが、それでも……本気で想える人くらいはいる。 その人に相応しい……そうはなれなくとも、その人を想っても恥かしくはないくらいの男になりたい。 ああ、そうさ。俺は男だ! 男になるんだ! だったら―――見せねえわけにだっていかないだろう! 「―――意地があんだろ! 男の子にはッ!」 振り向き様に取り出す拳銃。それをシッカリと握り相手へと照準を向けながら、君島は力の限りにそう叫んだ。 己が言葉通りの……その意地を見せるために。 ……なぁ、これで良いんだよな? カズマ………… ―――銃声が、響いた。 ―――銃声が、響いた。 そしてスバル・ナカジマはそれを確かに耳にした。 「マッハキャリバー!?」 『はい、先程の銃声ですが恐らくは三時方向……距離にして三百メートル足らずかと』 冷静にその銃声が聞こえてきた距離と方角を割り出す相棒に頷きながら、スバルはその方向へと向かって駆け出した。 いくら無法の大地の上とはいえ、銃声が鳴り響いているなど只事ではない。 聴き慣れない質量兵器の奏でる音と相まってか、現状の事態とも合わせ不安が彼女の胸中へと広がっていったのは無理からぬこと。 もしかしたらという嫌な予感と、そんなはずはないという抵抗を同時に抱きながら、何かがあったのは分かっているのに何事もあってくれるななどと馬鹿みたいなことを思っている自分がいた。 だが途中でそれらのことを考えることすらスバルはやめる。ただ無心に言い聞かすように今は最速で駆けつけることだけに集中する。 そして、遂にスバルはその場所に駆けつけ―――彼と再会した。 「―――君島さん!?」 不意に聞こえてきた声に君島は何とか這い出してきた車から顔を上げて前を見る。 目の前に駆けつけてくるのは見覚えのある人物……確か名は、 「……スバルちゃん、だったよね」 こんな所で思わぬ再会をしてしまったことに柄にも無く君島は運命の数奇さというものを感じた。 「……いったいコレは………?」 呆然とした様子で尋ねてくるスバルに、君島は苦笑を浮かべて誤魔化せないものかと考える。 ホールドの装甲車とのカーチェイス、鮮やかなドライビングテクニックで撒いてやったまでは良かったのだ。 だがやはり無茶な運転にスピードの出し過ぎというのはよくない。気が抜けて荒地だということもあり油断していたところを運転ミスを起こして車を横転させてしまったのだ。 それこそ死ぬかと思った……寿命が縮んだのは間違いない。 加え、あちこち擦り傷だらけの満身創痍だ。かっこ悪いにも程がある。 このような姿と事情、女の子を相手に知られるわけにはいかない。 ……尤も、本当はもっと別の理由もありはしたがそれこそ語るべきことでもない。 「……まぁスピード違反で横転しちまってね。……今、何とか這い出てきたところさ」 それでもしつこく事情を問い質す姿を見せるスバルに、やがて君島は根負けしたようにそれだけを相手へと説明した。 「酷い怪我です! 早く病院に―――」 「―――いや、ちょっと行かなきゃならないところがあってね」 悪いけど病院には行けない、とスバルの提案を断る君島。尤も、アウターにまともな医療施設など存在しないし、生まれてこの方、インナーの例外に漏れず君島も闇医に掛かったことはあれど病院には行ったことは無い。 まぁ、そんな事実はどうでもいい。……それに、今更行っても仕方がないのだ。 ……いいや、今ならまだ間に合うか?……馬鹿言え、たとえそうだとしても相棒を放りっぱなしにして自分だけ病院になどいけない。 かなみとも約束している。あの馬鹿を連れて帰るって……。 「……だから、行かなきゃ……」 そう言いながら君島はふらふらと頼りない足取りのまま歩き出す。 車が横転してしまった以上、此処から先は歩くしかない。 ここでモタモタしていれば撒いたホールドの連中にまた見つかるかもしれないし……何より、やはり相棒が心配だ。 まだ結構距離がありそうだが間に合うか? そんな不安に捕らわれかけるも悩んでいる時間の方が無駄だ。 ……もうあまり時間が無い以上、意地でも歩いて間に合わせるしかない。 「……ほんと、俺って……苦労人……だなぁ………」 「―――君島さん!?」 呑気にそんなことを呟きながらも、早くも倒れかけた君島をスバルは慌てて駆け寄って支える。 傷だらけの姿でこんな千鳥足……ハッキリ言って無謀を通り越して異常だ。 「何やってるんですか!?……分かりました、私が病院へ連れて―――」 そう言って君島を脇から支えようとしていたスバルの言葉と動きが止まる。 そう、ここまで密着して……スバルは漸く気づいてしまったのだ。 「……あ……やべ……バレた………?」 スバルの異変に君島も思い当たる理由が理解できたのだろう。次に彼が言ってきた言葉に含まれていたのは隠し事がバレた罰の悪さだ。 だが正直、スバルはそんな君島の言葉を聞いている暇だってなかった。 「マッハキャリバー!」 『……残念ですが、このままでは恐らく』 「ッ!? で、でも直ぐに治療できる施設に運べば―――」 相棒のデバイスが告げてきた恐らくは文字通りの機械じみた正確な言葉に、しかしスバルは認めないと言った様子で激しく首を振る。 そうだ、認めてなどなるものか。こんなこと、あっていいはずがない。 まだ間に合う――――まだ―――― 「……なぁ、スバルちゃん。……一生に一度のお願いが……あるんだ……」 そんなスバルに告げてきた君島の声、それは不思議なほどに穏やかに響いた。 間もなく日も傾きかける黄昏時。 耐久レースでもあるまいし、しつこく追いかける連中を相手にいい加減、カズマもまた逃げ切れないことを悟った。 振り返ってみても随分とらしくない。結局は逃げれないならこんな無駄なことをするものじゃないと考えながら、カズマは己を取り囲むダースたちへと身構える。 シェルブリットは既に三発ともに消費した弾切れ。再度撃つには再構成する必要がある。 ……尤も、再構成したところで未だに霧状になるコイツらの謎が解けていない限り通用するとも思えないが。 切り札のシェルブリット・バーストは……否、根本的にスタイルそのものが変わっていないので結局は同じだろう。 だが打つ手が無いからといって諦めるなどカズマににとっては絶対にノゥだ。殴っても効かないってんなら、意地でも効く様に殴ってやると根拠も無いそんな考えで無理矢理に闘争心を奮い立たせる。 何が何でもこんな奴らにだけは負けられない……そんな反逆の思いと共にかかって来いやとダースたちに叫ぼうとしたその時だった。 「―――新手か!?」 思わずカズマがそう叫びながら振り返ったのは、遠方から聞こえてきた車輪の音が原因だ。 振り返ったその先―――こちらへと疾走しながら駆け込んでくる青い影。 「て、テメエは―――ッ!?」 よくよく縁があるらしい青髪の少女……名前は知らないが確か本土から来たアルター部隊の一人。 都合三度目となる邂逅、乱入するように自分たちの居る公園にまで突っ込んで来るその少女は背に意外な人物を背負っていた。 「き、君島ぁ!?」 思わず信じられないように目を見開いて相棒の名を叫ぶカズマに応えるように、君島はスバルに背負われたそのままに銃を引き抜くとソレを躊躇い無く発砲してくる。 勿論、ダースを狙ったものではあったのがその銃弾は全弾がカズマの足元で跳ね飛ぶ始末。ダースたちもその発砲と共に離脱したとはいえ、危うくカズマに当たるところだった。 そんな慌てふためくカズマの傍らに君島を背負ったスバルが到着する。 「よっ!」などとスバルに背負われた気楽に言ってくる君島に無茶すんなと怒鳴り返しながら、それ以前になんでこんな奴に背負われているのかと君島へとカズマは問う。 「……まぁ、その……成り行き? 細かいこと気にすんなって」 大丈夫、彼女は敵じゃないからとスバルに背負われたまま君島はカズマを必死に説得する。 無論、幾ら相棒の言葉とはいえ拳を交えあったこともある敵をおいそれと信用しろという方が無理がある。カズマが睨むように露骨な懐疑的視線をスバルへと向け続けるのも仕方が無いことだった。 スバルとしても敵対の意思が無い事を態度で示している心算だが、下手な事を言って口を挟むと噛み付かれそうなどで萎縮していた。 「彼女は大丈夫だって、な……俺の事を信用しろよ」 それでもスバルは敵では無いと必死に説得を続ける君島。彼の真剣な言葉と態度には嘘が含まれていないことくらいカズマだって相棒として長い付き合いだ、とっくに気づいていた。 「……分ぁったよ! コイツは信じらんねえが……コイツを信じるお前を信じてやるよ」 最大限の譲歩だというようにソッポを向きながらそう言ってきたカズマに君島とスバルは礼を告げる。 だがそんなことばかりを続けている場合でもない。一度は距離を取って離脱したダースたちだったが、再び段々とこちらを取り囲もうと距離を詰めてくる。 霧状から元に戻りながら集結してくる相手を見て、流石の君島とスバルも驚いていた。 「な、何なんだコイツら……?」 「何だかよく分かんねえんだよ……くっ付いたり、バラバラになったり……」 実にアバウトとしか言い様のないカズマの説明ではあったが、それでも君島はカズマとは違い何かに思い至ったように。 「……おいカズマ、それとスバルちゃんも、悪いが二人とも協力してくれ」 いきなり告げてきた君島の言葉に何事かと二人は彼へと視線を集中させる。 「まずカズマ……お前、アレだせるか?」 「何を?」 「右腕光らせる奴だよ………それでアイツら吹き飛ばせるか?」 「……ああ、出来る。けど―――」 「だったらやれ! 今すぐにッ!」 いきなり訳の分からぬ命令をしてくる君島に何を偉そうにと怒鳴り返そうとするも真剣にやれと言って来る君島の目を見て言葉が止まる。 「……なぁ、偶には俺を信じろって」 どこか苦笑を浮かべながら告げてくる君島のその言葉に、何故か奇妙な違和感をカズマは感じていた。 そんなカズマへと、 「お願いします、カズマさん!……君島さんを、信じて」 なんと今度はスバルまでもが頭を下げて頼み込むような勢いでそんな事を言って来る。 何かに必死に耐えるように懇願を示すスバルの態度に、ますます違和感を強めつつも結局カズマが選ぶ選択肢は決まっていた。 「……ああ、信じてやるよ。―――やってやるさッ!」 そう頷くと同時に、シェルブリットをあの更なる黄金の輝きにまで進化させていくカズマ。 それを見ながら君島は、次に自分を背負ってくれているスバルへと頼み込む。 「じゃあ次にスバルちゃん……俺を見晴らしの良いとこに連れてってくれないか?」 君島の言葉の意図は分からなかった。けれどスバルには……もはや彼の頼みを断る心算も毛頭無かった。 ああ、だって今更……もう断れるはずがないじゃないか。 ウイングロードを展開したスバルは、彼を背負ったまま要求通り最も見晴らしの良い場所―――上空へと連れて行く。 「……アルターってやっぱ凄えな」 「……アルターじゃありません。魔法です」 感心する君島の言葉に対し、本来は機密事項であるその言葉をポツリとスバルは漏らしてしまっていた。 「……魔法?」 「……はい。信じてもらえないかもしれませんけど、私……別の世界から来た魔法使いなんです」 一般人を相手に理由も無く機密である己の身分を暴露……今回の任務では本来ならばやってはならない事として特に厳しく注意されていたことだが……知ったことか。 ああ、もはや知ったことか! 嘘で塗り固めた己が嫌だった。この人に最後まで嘘を吐き続けるのが嫌だった。 たった一人、初めてこの大地で自分に『ありがとう』という言葉を告げられる嬉しさを思い出させてくれた恩人を相手に。 スバルはもう嘘を吐きたくなかった。 「……そっか。魔法使いか……やっぱ凄いな、スバルちゃんは」 俺なんかとは大違いだな、そんな事を言って来る君島にスバルは思いの限り反論したい気持ちで一杯だった。 凄くなんか……ちっとも凄くなんか無い、と……。 だって私はもう貴方を――― 「……そうだ。……もっと……もっとだ……」 心の中で泣いているスバルに気づく素振りも無く、彼女に背負われている君島はシェルブリットを進化させているカズマのその輝きに魅せられているようにうわ言の様に言葉を紡ぎ続けていた。 「「もっと―――輝けぇぇぇえええええええええええええええええええええええ!!」」 そして遂に進化を果たしたカズマのシェルブリットが姿を現すと同時に、彼らの叫びは唱和されるように合わさって響いていた。 シェルブリットを第二段階にまで進化させたカズマは、君島を信じてその拳に集束した黄金のエネルギーを前方のダースたちに向かって解き放つ。 だがどれ程強力な威力であれ、霧状になって無効化出来る相手には通用しないのは道理。結局、カズマの突き出した黄金のエネルギーもまたダースたちを霧へと変化させるだけであった。 だがこれが通用しないことくらいは、既に君島とて予想済みである。最初から君島の目的はこの攻撃で連中を倒すことではない。 ……そう、本当の目的はこの攻撃で連中を霧状にすること……即ち、アルターを使用させることだ。 「………さ~て、何処かなぁ」 鷹のような鋭い眼光で眼下を研ぎ澄まし睥睨しながら君島が探していたのはたった一つ。 それは――― 「―――やっぱり近くにいたか!」 そう言った君島の表情に浮かんでいたのは己の目論見が成功した事を確信する勝利の笑み。 事実、君島は目的の人物―――たった一人、少しだけ離れた岩陰からアルターを使用しているダースを発見していた。 「……お前ら、互いの体を霧のアルターに変えてたってわけだな。……でも、アルター能力を使う奴は必ず実体化しているはずだ。そいつが……中心。つまり―――お前だ!」 そう告げると同時、君島は隠れていたそのダースへと発砲した。 「……ちぇっ………バレちゃった」 悪戯が失敗した子供のような口調でイーリィヤンは“絶対知覚”を持って中継し、指揮管制を取っていた基点のダースが倒された事を確信した。 今回は上手くいくと思ったんだけどなぁ……そう思いながらも任務は失敗に終わった事を受け入れたイーリィヤンは撤退の準備と幕引きの見届けヘと知覚作業の内容を変更した。 霧状になっていたダースたちも、自分たちを霧化させてくれていた基点がやられたことにより次々と元の姿へと戻っていく。 これで無敵の防御は破られた。ならば―――後は散々ムカつかせてくれたこの鬱憤を晴らすのみ。 そう決めたカズマはシェルブリット・バースト……取って置きの二発目をダースたちにトドメと叩き込むべく再びその右腕を輝かせ始める。 作戦が成功し、スバルに背負われたままではあったが地面に降りてきた君島は、代わる様に宙へと舞い上がっていく相棒を誇らしげに見上げていた。 「残念だったなぁ、お前ら。……けどな、俺とカズマのコンビの方が一枚上手なんだよ」 「―――当ったり前だろうが!」 誇らしげにそう告げる君島に、それに応えるようにカズマもまた誇らしげにそう叫ぶ。 茜色に染まる黄昏の空、見上げる先にあるのは眩きばかりの黄金の輝き。 かつて己が魅せられ、そして今だって魅せられ続けている、その――― 「……そうだ、カズマ………見せ付けてくれ」 そう呟きながら君島邦彦は見上げ続ける。 ただただ真っ直ぐに相棒が示そうとしているその雄姿を、その輝きを。 誇らしげに、見逃すことなく見届けるその為に――― 「お前の―――――――――――――――――強さを!」 「シェルブリットォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」 カズマのその叫びと同時に、振り下ろされるその拳。 それは天にも届かんばかりの虹色に輝く光柱を生み出し、凄まじいエネルギーの発生と衝撃、爆風を発生させていた。 目も覆わんばかりのそれを君島がハッキリ見届けながら思った感想はただ一つ。 ……やっぱ凄いな。 正直に美しいと感じると同じくらいに、シンプルにそう感じ取り評価を下すことしか君島には出来なかった。 だが……そんな単純な表現ではあるが、それで充分でありピッタリだとも不思議とそう自分を納得させも出来ていた。 「………まさか、アレがカズマ………ッ!?」 信じられない、そんな面持ちで遠方に発生している光の柱を見ながら劉鳳は呟いていた。 あれ程に常軌を逸した力を……あの男はまだ隠し持っていたとでも言うのか? それを認めねばならないと思うのと同時に、なればこそやはりあの男には負けられない―――そう劉鳳は新たな決意を抱き直し、拳を固く握っていた。 「……フフ、ここだけは本土側に見せることは叶わぬな」 既にイーリィヤンがホーリーアイからの映像中継を中止させた後で良かったと思う一方で、やはりこの男が秘めている力は素晴らしいとジグマールは改めて思い直した。 「……必ず手に入れる。この男の力も、劉鳳も、必ず私は―――」 ―――手に入れて、絶対に勝利を掴むのだ。 先の高町なのはの虚言には二度と惑わされたりなどしない。 研ぎ澄まし、鍛え上げた、揺るぎない老練なる意志を持って自分は勝利を掴む。 この光にそれを誓おう、そう映像を見つめ続けながらマーティン・ジグマールは確固たる己を取り戻していた。 「……アレをカズマ君が………?」 市街から少しばかり離れた上空、遙か遠方にかろうじて目を凝らせば見えるその光柱を見届けながら、高町なのはは呟いていた。 「……どんどん彼は強くなってるね」 それをどこか末恐ろしく、そしてそれ以上にどこか羨ましく思いながらなのはもまた彼が行く着く先であれ程の巨大な力を、振りどころを間違えずに振るうことが出来るのだろうかと少し不安を抱きかけてもいた。 ……何故だろう、決意は既に固めたというのにこれから何かとんでもないことが起こる嫌な予感がしてしょうがなかった。 この不安がもし的中した時、カズマが道を誤ってしまった時……… そんなifなどと言うものはあって欲しくはないと願う一方で最悪の事態がもしも起こってしまった時には――― もう彼とは直接戦わない、手を取り合っていこうと決めた。 でももし、もし……今度は争いをどうしても回避できないそんな事態が万一起こってしまった時――― 「……私の力で、彼を止められるのかな」 そしてそれ以上に、私の言葉は彼に本当に届くのだろうか………。 言い知れぬ、得体の知れない不安が増す一方で、長年戦い続けてきた戦士としての直感がエースオブエースへと告げていた。 恐らく嵐が来る、と………。 「……で、お前はどうすんだよ?」 やるってんなら相手になってやる、そんな態度も顕にしながらカズマは残ったスバルへと獰猛な笑みを向ける。 「わ、私は―――」 「―――カズマ、スバルちゃんは敵じゃねえよ。少なくとも今日は、俺を助けてくれた味方だ」 背負われていたスバルより降りながら、ふらつく足取りでカズマの元まで歩いていきなんとかそう君島は告げた。 「……おい、君島。お前、大丈夫か………?」 「……流石に今日はハードワークだったな。……少し、疲れた」 帰って休みたいぜ、そんなことを言いながらカズマへと凭れかかる君島。カズマは君島の足取りもあやふやなその姿には流石に心配そうな態度を見せてもいた。 「……おい、本当に大丈夫か?」 「大丈夫、大~丈夫。……けど歩くのめんどくさい。……背負って帰ってくれよ?」 いきなりの要求に何だそりゃと顔を顰めるカズマに君島は、 「……だって疲れてもう一歩も歩けねえんだよぉ~。……なぁ、カズマくぅ~ん、お願~い………」 「気色悪い口調で乗っかかってくんじゃねえよ! つーか車どうしたんだよ!?」 「……ちょっと横転しちまっててな。置いてきちまった」 やべえ、ホールドに回収されてなきゃ良いんだがなどと愛車の行方を危ぶんでいる君島に対し、カズマは呆れたような溜め息を吐いていた。 「……わーったよ! ほら、おぶってやっからちゃんとしがみ付け」 このままでは埒が明かない、そう悟って根負けしたようにカズマは君島を背負ってやった。 「……ったく、こっちだって右腕痛えってのによぉ」 などとブツブツと珍しく文句を零しながら、カズマも早くかなみの元に戻りたいという欲求があったのか、そのまま君島を背負ってその場を後にし始める。 「―――あ、あの!」 それを呼び止めるように声をかけてきたスバルに、カズマは何だよと胡乱気な眼つきで睨みながら振り返った。 「まだ何か用か? 今日のところはこの馬鹿に免じて見逃してやんだから、お前も早く帰れよ」 にべもない蝿でも追い払うような態度でそう告げるカズマの頭を君島が叩く。 「痛えな! 何しやがる!?」 「……馬鹿はお前だ。……世話になった女の子に礼の一つも言えねえのかよ」 君島が言ってくるその言葉にカズマはそれこそ「ハァ?」と顔を顰める。 「別に世話になってなんかねえだろ」 「……あのなぁ、さっきの連中にどうやって勝ったと思ってんだよ。……俺が居たからだろ? そんでそんな頼りになる君島さんを連れて来てくれたのは……彼女だろうが」 だから充分に礼を言っておく必要があるだろう、と君島は珍しくカズマに言いきかせるような説教を垂れていた。 「……ごめんねぇ、スバルちゃん。……ほら、コイツ見ての通りの奴でさ。……全然素直じゃないんだよ」 だから甲斐性無しのロクデナシで、挙句の果てがクズなのだと散々に言ってくる君島にカズマは怒ったように叫ぶ。 「テメエな、好き放題言いやがって! 振り落とすぞ!」 「……ちょ、今そんなことされたら……俺、死んじまうってば! 悪魔かお前は!?」 「知ったことか! 男ならテメエの足でしゃんと立て!」 「……それが出来たら……苦労しねえっての」 やいやいと喧嘩のように、しかしそれがとても仲の良い様子だと一目見ても分かる光景を見続けるのは、今のスバルには辛かった。 駄目だ、泣くな、耐えろ……必死に、必死に己へとそう言いきかせる。 だってそうだろう。他ならぬ君島自身が必死にそれを望んでいる。 ならば自分が……それを我慢できないでどうする? だから、耐えろ、我慢するんだとスバルは己へと必死に言いきかせていた。 「……君島さん、ありがとうございました。お元気で」 やがて二人のやり取りに割り込むようにそう告げて、スバルは頭を下げた。 これだけは……これだけは言っておきたい、そう思ったからだ。 だが君島はそう言ってきたスバルに対しても、ただ優しく微笑みながら――― 「……俺の方こそ、本当に世話になった。……ありがとう。………それから、またな」 そうカズマに背負われたままに言ってくる君島。 もう我慢の限界だった。零れ落ちそうになる涙を見られないように、そしてカズマに気づかせないように、スバルは下げた頭を上げることが出来なかった。 「……おい、何でアイツいつまで頭下げてんだ?」 「……彼女は礼儀正しい子なんだよ。……お前と違ってな」 「何だとッ!?」 「……はいはい、怒んなって。……俺が悪かったから」 早くかなみちゃんが待ってるんだから帰ろうぜ、そう促がす君島が、この瞬間に至るまで誰を気遣っていたのかは……最早、語るまでもないだろう。 「……それじゃあ、スバルちゃん。本当にありがとう。それから――――」 カズマに背負われて去り往く最中、振り返ってこちらに微笑みながら告げてくる君島からの最後の言葉。 もうカズマが見ていない、だから構わずに涙に満たした瞳と表情をスバルは君島へと向けながら、彼の最後の言葉を聞き届けた。 声にはなっていなかった、が唇の動きから彼が何と言ったのか、スバルは確かに聞き届けていた。 君島邦彦はスバル・ナカジマへと最期の言葉としてこう告げたのだ。 ―――それから、ごめんな。 と………。 空が赤い。 ガキの頃から何度も見上げてきているが、この空というのはロストグラウンドと世界においても数少ない平等なものだとふと改めて思う。 空だけは、天気や季節によって地域差はあれどどこも同じだ。差別も圧迫も無い、平等に天気を提供するのが空の役割だ。 この大地は標高が高い分、他の地域よりも空に近い。手を伸ばせば星にだって届くのではなかろうかと柄にもなくガキの頃に信じていたこともあったけか、と君島は霞みだした思考の中で思い返す。 ……やべえ、これって俗に言う走馬灯ってやつか? だとするなら、そろそろ自分も本格的に危ないなと君島は思い返した。 まぁ、だからと言っても焦っても仕方が無い。……それだって既に、覚悟の上だったはずだ。 ……そう、もう直ぐ自分は死ぬのだろう。 朧気ながらもその確信だけは君島邦彦の中にもあった。 「……なぁ、スバルちゃん。……一生に一度のお願いが……あるんだ……」 これを相手に聞き届けてもらえる可能性が低いことは承知の上だった。 けれど残り時間がもはや限られているであろう君島には……他に選択肢が無い。 そう、ホーリーの装甲車から逃げる途中、君島邦彦は致命的とも言って良い被弾を受けており、もはやそれは助からない傷にまでなっていた。 正直、死にたくなどなかった。それが君島の当たり前の本音であり、同時に叶わぬ願いでもあった。 生物というのは死期を悟ってしまえば、それがどうしようもなく覆せない場合においてはもはやすんなりと受け入れられるらしい。 別段、諦めだとか運命の享受だとかそういうわけじゃない。 きっとこれは、 ―――きっとこれは、命の遣い時。 まさにそのようなものじゃないのかと君島は思った。 残り少ない最後の命、消える前に燃え上がる蝋燭の炎。 最後の最期に提示される、後戻りの出来ない選択肢。 それを何に使うか……恐らくは、そういうことだ。 そして君島邦彦は既に決めていた、その覚悟があった。 何よりも最前に叫んだ己の言葉を、抱いた想いを、交わした約束を果たさないわけにはいかない。 だからこそ――― 「―――俺を、カズマの所へ連れて行ってくれ」 自分の心に正直に生きた。誇りを持って貫けた。 その『生きた証』を立てるには、それ以外の選択肢などなかった。 だからこそ、君島はスバルへと辛い役目を押し付けた。 「……酷い、人だよ」 本当に酷い人だ、そう赤く染まった夕焼け空を見上げながらスバルは言葉に出して呟いていた。 それが誰か……言うまでもなく彼―――君島邦彦だ。 絶対にあんな頼みなど聞いてやらないと思っていたのに。 無理矢理に病院に連れて行ってでも助けようと思っていたのに。 なのはさんの教えで無茶は駄目だってちゃんと分かっていたのに。 もう二度と、自分の目の前では理不尽な死だけは許せないって思っていたはずなのに。 結局、それらスバルにとって大事なはずの誓いの全てが護れなかった。 滑稽だ、あまりにも無様で、情けない。 そしてそれ以上に……ただただ、最悪だ。……最悪、だった。 「……嘘は、嫌いだったのになぁ……」 ポツリと呟くスバルの声は震えていた。 頬を伝う生温い液体がこの上もなく不快であり、胸の奥が痛くて痛くて仕方がなかった。 『……相棒』 そんなスバルにどんな言葉をかければ正しいのだろうか、プログラムされたデータの中では最適解と思われるものを割り出せない。 機械の身でしかなく、真の意味で彼女を支えられぬ己をマッハキャリバーはただただ無力だと悔やむ他になかった。 声を押し殺して泣き続けるスバル。彷徨うように進む足取りは目的地があるわけでもない。 どうしても己の信念を曲げることが出来ずに飛び出しておいて、今更にどの顔をさらして部隊へなど戻れようか。 いや……そもそも帰還の意志云々を抱く心の余裕すら今のスバルにはなかった。 そんな時であった。 「―――スバルさん?」 己の名を呼ばれスバルは顔を上げた。 「………水守さん……それに……橘さん……?」 目の前にはこの大地に来て以降に知り合った知人たちが、何とも奇妙な組み合わせで立っていた。 桐生水守をとりあえずはカズマのところにまで届ける。 カズマ自身にも大きな借りもあり、それを返す良い機会だとも思っていた橘あすかはだからこそ彼女を連れて先を急いでいた。 とはいえ、報道されていた地域は遠すぎるわけでもなかったが逆に近いというわけでもなかった。 故にこそ、出発したその足で今日中に辿り着くことも出来ず、日も暮れ始めている現在ではそろそろ野宿の準備も視野に入れねばならぬと考えていたところだった。 「……それに、これだけ時間が経過してるんです。既に戦闘は終わってしまっているでしょう」 あのカズマがダース部隊程度に負けるなどとは微塵も思っていない橘にとっては彼を心配するようなこともない。 水守は水守でそれなりに心配はしているようだが、やはりそれでもどちらかと言えば劉鳳に逢えるかどうかという点の方が重要であるらしい。 未だ事情は詳しく聞いていないのだが、先の異例の報道といい、本格的に何か事態が大きく動き始めているのではないかという予感も徐々に抱いていた。 そんな時だった。前方から人影がこちらへと向かって歩いてくる。 「……桐生さん、念のため下がっておいてください」 目的地にはまだ到着していないが大分近付いてきたのも事実である。この辺りをホーリーやホールドの部隊が徘徊していたとしてもおかしくはない。 今やジグマールに在野に放逐された自分はまさにただのネイティブアルター……加え、水守の方も相当の訳ありのようである。 古巣の同僚たちであろうとも万が一という事態はある。だからこそ橘は水守を下がらせ前へと出て、いつでも己のアルターを使用できるように身構える。 だが夕焼けの荒野をまるで幽鬼の様に力のない足取りで近付いてくる相手は、橘にとっても水守にとっても予想外であった意外な人物である。 「「―――スバルさん?」」 橘とそして水守もまたその名を同時に呟いたことに、二人は驚きながら顔を見合わせる。 「……彼女をご存知で?」 「……ええ、以前に一度話をしたことがあるんです」 だがよくよく考えてみれば彼女はホーリーに所属していたし、本土の出身だという。水守とそれなりの交流があったとしてもおかしくはないかと橘は考え直す。 だが逆に水守からすれば彼がスバルと知り合っていたというのは意外な事実であり、まだ驚きを隠せていないようだ。 「……どうしますか? 以前に一度話をした限りですが、彼女は一応信頼は出来そうな人物だと思いますが」 今ホーリーに接触するのは目的の人物である劉鳳以外は拙い。 だが例外的とも考えても良いほどにスバルは信頼できる人柄だと橘はそれでも思っていた。 それは水守も同じではあったようだ。 「……ええ、接触しましょう。彼女なら何か知っているかもしれません」 友達が……高町なのはが信頼している部下だ。ジグマールに捕らえられる前にも彼女なら自分たちにも協力してくれるとなのはは言っていた。 なのはが信じている以上、水守もまた信じても良いと思っていた。それになのはの事がなくとも短い付き合いだがスバルがどういう人物かということも水守は知っていたし、その誠実さにも好感を抱いていた。 彼女ならば話が通じるし、何かを教えてくれるかもしれない。 そう考え、意見の一致した二人は彼女の元へと近付いていった。 何かあったのか、こちらの泣き腫らした表情を見て尋常な様子ではないと悟ったのだろう。二人はこちらを案ずるように心配しながらそう尋ねてきた。 だがスバルにとってはむしろ、その優しさが今は逆に辛く感じて仕方が無かった。 自分が選んでしまった行動によって起こった末路。 そして二度とは会えないであろう恩人。 正義も信念も誓いも……結局、自分は果たせず――― ―――スバル・ナカジマは嘘が嫌いだ。 元々あまり器用な性格でもなく、他人を騙すことはおろか自分自身の感情を誤魔化すことも苦手だ。 厳格で実直な父に似たのか、勇敢で誠実な人だった母に似たのか。 もしかしたなら、優しく純粋な姉の影響だったのかもしれない。 だがどのような理由にしろ、スバルは嘘を吐くという行為に抵抗を持ち、誰かを騙したり傷つけるような行為だけは絶対にしないと自身で決めていた。 だからこそ、嘘が嫌いでどんな時も、どんな理由があろうと誰かを騙すような嘘だけは絶対に吐いたこともない。 どんな時も真っ直ぐに、真摯に生きる……そう常に決めていたし、これからも決してソレだけは変えないように生きていく心算だった。 ……そう、スバル・ナカジマは嘘が嫌いだった。 けれどこの日、彼女は一生消えないだろう人生最悪の嘘を自分自身に吐いてしまった。 残ったのはただそれだけの事実と、消えることのない己への無力感と罪の意識だけだった。 ……悪い事をした。 スバルの事を思い返しながら君島は改めてそう思った。 自分の我が儘が原因で彼女に消えない心の傷をつけてしまったのかもしれない。 最後に謝ったが……やはり、言葉だけでは足らないだろうとも思い、申し訳なくも感じていた。 一応、これでも女の子には優しくがモットーの君島邦彦が……これではあやせさんにも顔向けできない。 ……本当にごめんな、スバルちゃん。 謝っても謝りきれない、これは己の罪だろうなと君島はそれを認め、受け入れた。 「……なぁ、カズマぁ………」 「んだよ、急に話しかけてきて」 自分が背負っている相棒が急に話し掛けてきた事にカズマは不思議に思いながらも、一応は応えてやる。 「……自分のせいで、誰かに消えない傷痕残しちまった場合って……どう償えば良いと思う?」 急に訊かれた訳の分からない質問にカズマはそれこそ「ハァ?」とお馴染みの態度で首を傾げる。 「知るかよ、そんなの」 にべもないカズマのその言葉に、端から大した期待はしていなかったとはいえやはり期待外れでしかない言葉にそれこそ君島は落胆の溜め息を吐く。 使えない奴とでも言わんばかりの君島の露骨なその態度には、さしものカズマもソレは面白くなかった。 だから何か言ってやろうと質問の意図も分からぬままにとりあえず自論を説いてみることにした。 「……俺にはよく分からねえが、やっぱ背負うしかないんじゃねえのか」 「……背負う?」 「ああ。それがどんだけ重たいもんかは知らねえが、逃げられないって言うんなら向かい合って必死になって背負うしかねえだろ。重さに潰されないように抱え続けていく……よく分からねえが贖罪ってのは大概そんなもんだろ」 だから本当に申し訳ないと思うなら、それを忘れないように刻み込んで他の誰でもなく自分自身が背負っていくしかないだろう……そうカズマは結論を述べた。 「……お前らしいっちゃあ……らしいが………案外、マトモな意見だな」 感心したように言ってくる君島の態度に馬鹿にしてるのかと睨み返すカズマ。 だが君島はそれに対してただ笑ったまま、 「……違えよ。……逆さ、尊敬してんだよ……俺は」 背筋がむず痒くなるような君島の言葉に、それこそ本当にどうしちまったのかと初めてカズマは少し不安になってくる。 「おい、君島……………君島? おい?」 呼びかけて揺すってみる………が反応が返ってこない。 寝やがったのかと随分と優雅な相手の態度に腹が立ってきて振り落としたくなる衝動に駆られる。 文字通り叩き起こせばいい加減にこの馬鹿も目を覚ますか。 そう思い実践しようかとそれこそ一瞬迷い―――結局、やめた。 理由は……まぁ、今日はこいつに助けられたのも事実だし、無理に起こすのも少し可哀想かとも柄にもなく思ってしまったからだ。 今くらいは好きに寝かせておいてやるか、そう思いながらシッカリと背中の相棒を背負い直して歩こうと思っていたその時だった。 「………カズマ………俺、少しは……お前の……あい……ぼ……う……ら……しく……」 ブツブツと何かを寝言のように言ってくる君島。 一体何を言っているのかとカズマはしょうがないので少し聞き耳を立ててみた。 ……やべえ………本格的に………もう駄目そうだ………。 霞む視界と意識の中、猛烈に襲ってくる永遠への激しい睡魔。 カズマが何かを言っているような気がするが、よく聞こえない。 そろそろ終わり……お別れの時間かと君島は悟った。 覚悟は決めていた。後悔だってしていない心算だ。 どれほど馬鹿だと蔑まれ、クズだと揶揄され、道化のように嗤われ様と。 それでも例え滑稽で惨めで無様な最期であろうとも。 それでも……最後まで自分は本当の意地を貫けたし、『生きた証』も立てられたと信じてもいる。 だがそう思う一方で、どうしても一つだけこれだけは相棒に聞いておきたいことがあった。 ……なぁ、カズマ。俺は――― ―――少しはお前の相棒らしいことが出来てたか? コイツと出会ってから人生が変わった。 波乱万丈で休む暇すらない、そんな激しすぎる人生だった。 それでも振り返ってみて、これも悪くなかったと今だからこそ思える自分がいる。 そう思える事を本当に誇りに思えるし、コイツと組めていて良かったと感謝の念だって抱ける。 だが……それは全部君島から見てのことだ。 俺はそう思っているが、じゃあカズマは? カズマは……俺の事を、ちゃんと相棒として誇れたのだろうか。 それが君島には分からなかった。だからこそ、最後の最期に抱いた欲求としてそれを知りたいとも思ってしまった。 流石に役立たずだったと思われてるなら、それは凹むことだが、少しでも自分なんかが相棒でよかったと思ってくれているならば……それは最期に誇って逝けることなのだろう。 だから、それを知りたいと思って残る全てを総動員し、必死にその言葉を紡ごうとする。 尤も、もはや殆ど死んでいる自分では一回口を開けることですら酷い重労働だった。 しかも結局、まともに発音できていたかも怪しい、それどころか言葉としてちゃんと繋がっているかも分からないものが完成した精一杯のものだった。 これでは馬鹿なカズマは意味が分からないか……いや、そもそも例え通じてももうカズマの声も殆ど聞こえないんじゃ結局は意味が無い。 ……おいおい、何だよ。最後の最期でカズマ以上に馬鹿なことやってるな俺は。 そんな呆れと共に諦めかけたその瞬間だった。 「何馬鹿なこと言ってんだよ。お前以外に俺の相棒が他にいるか?」 きっと幻聴だろう、最初はそう思った。 と言うより、もはや聞こえないはずの声が聞こえるなど普通からしてありえない。 ………だから、これは自己満足とやらが生み出した都合の良い幻聴。 だが、例えそうだとしても――― 「……そっか。ありがとな―――こんな馬鹿とつるんでくれてよ」 生涯最後の、そして最高の言葉だったのは確かだった。 だから……もう、満足だった。 視界が霞む。何も聞こえない。意識が遠くなっていく。 ……ああ、これが死って奴か。 それを改めて、しみじみ実感するように思ったのは意外にもこれも何だか悪くないなと言うこと。 まるで夢を見るために眠りに落ちようとしているみたいじゃないか……そんな可笑しさに笑いながら。 ―――君島邦彦は長い長い眠りへと就いた。 「何馬鹿なこと言ってんだよ。お前以外に俺の相棒が他にいるか?」 断片的な寝言を繋ぎ合わせてみた結果、自分は相棒に相応しかったかどうかとか何だかよく分からない質問だとカズマは判断した。 まぁ寝言だし、今寝てるみたいだから別に良いか。 そんな思いと共に、カズマは普段は絶対に口にしないだろうそんな本音をポツリと君島へと向かって告げていた。 眠っているのは分かっているのに、何だか酷くこっ恥かしい気分になってくるのは何故だろうか。 「――――――――――――――――――――――」 不意に、背中の君島が何かを言ってきた気がした。 また寝言かと思い聞き耳を立てるも……寝息すらカズマにはまったく聞こえてこなかった。 こいつ随分と静かに寝るんだな、そんな相棒の意外な一面を知った気になりながらも、なんだか先程よりも重くなった気がする相棒をしっかりと背負い直す。 「それにしても重いな……もっとしがみつけよ、君島」 眠っていて聞こえないであろう事は承知の上で、そんな愚痴を零しながら。 ただカズマは物言わぬ君島邦彦を背負って歩き続けていた。 そうして、カズマは遂にかなみの元にまで帰ってきた。 由詑かなみは待ち続けていた。 日も落ち夜の闇が支配する廃墟街の片隅で。不安を押し殺しながら、君島に言われた通りにずっとカズマの帰りを待ち続けていた。 そんな時だ、瓦礫を踏む足音が聞こえてきて弾かれたように振り向いたその先に――― ―――待ち続けていた愛しい人がこちらに向かって歩いてきていた。 かなみは漸くにカズマと会えたことに歓喜に打ち震えながら、彼の名を何度も呼びながら駆け寄り、彼へと抱きついた。 「すまねえな、かなみ。ちょっと野暮用でよ」 この期に及んでまだいつものバレバレの言い訳をしようとするカズマが可笑しく、しょうがない人だと笑いかけ――― ―――カズマが背負っている君島に気づき、その笑みが止まる。 「き、君島さんが………あれ…………?」 「ん、君島がどうしたよ?」 急に背負っている相棒のことで戸惑いだしたかなみを見て、それこそカズマは不思議そうに首を傾げていた。 君島がどうかしたのだろうか……っていうかコイツはいつまで寝ている心算なのだろうか。 「おい、ちゃんと掴まってろよ君島。落っこっちまうだろ」 そう言いながらついでに起きないものかと揺すってみたが、やはり反応なし。 本当に熟睡してやがるのか、そんな呆れを抱いていたその時にカズマはこちらを……否、君島を見上げて泣いているかなみの姿に気づいた。 なんでかなみが君島を見て泣いているんだ? その疑問の解が最初は分からなかったカズマであったが急に胸中に広がりだした嫌な予感である事に気づきはじめた。 「………君島?」 本当に、君島は熟睡しているだけなのか? 何故呼びかけに応えない? 何故寝息一つ聞こえてこない? それに………何故、かなみが泣いているんだ? 「……お、おい……君島。……な、何だよ、チャラけてる場合じゃねえだろ?」 段々と己の声が震えてくることにカズマは嫌でも気づいていた。 今思えば、君島の様子はいつもとはどこか違い、変だった。 よく考え、振り返ってみればそれはありありと分かることでもあり、そして今この状況こそがそれを証明しているのではないのか? 傷だらけで、目を覚まそうとしない君島邦彦。 そんな彼を見て泣いている由詑かなみ。 ありえない、そんなことは絶対にありえない。 脳裏に過ぎる最悪の予想を無理矢理に振り払いながら、カズマは君島を起こす為に何度も呼びかける。 応えは、一度たりとも返ってこなかった。 そのせいだろう、段々とカズマも焦ってきていた。 おい、君島。そろそろ起きろよ。 お前が誤解されるような寝方してるせいで、かなみが泣いちまってるじゃねえか。 かなみも泣くな、泣く必要なんて無いだろう。 お前が泣いちまってるもんだから……まるで……まるで……… まるで、君島邦彦は本当に―――― 「………おい、起きろよ。………君島…………?」 それでも、震える声でなんとかそれを認めたがらないように、否定するように、彼が応えてくれるように願って、カズマは君島へと呼びかける。 だが――― ―――だが二度と、君島邦彦がカズマの呼びかけに応えることは無かった。 次回予告 第7話 ロストグラウンド 誤解が不和を呼び、不和が戦いを呼び、戦いが悲しみを呼ぶ。 その中で芽生えた友情も、愛も 光の中に溶け込むしかないのか? 往くは破壊、来るは破壊 全て―――破壊。 目次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3108.html 前へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3164.html 次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3184.html
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/828.html
autolink() NS/W04-060 カード名:高町なのは カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:1 コスト:1 トリガー:1 パワー:5500 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《武器》? 【永】他のあなたの、「センターガード ティアナ」と「キャリバーズ スバル&ギンガ」がいるなら、このカードのパワーを+2000。 いくよ、レイジングハート! レアリティ:U illust.さがのあおい 今ブースターから新たに登場した、3人揃った時に効果を発揮するシリーズの1枚。 固有指定3枚を揃えるのは中々骨だが、3枚ともレベル1であり、かつこれ以外の2枚のコストが0、 ともに単体能力も十分実戦投入可能なレベルで、センターガード ティアナの能力によりキャリバーズ スバル&ギンガは限定ながら回収可能。 条件は見た目ほど厳しくなく、実際にも揃うことはかなりあるだろう。 赤緑のレベル1の中核となりうる存在であり、揃った時に1/1/8000は非常に大きい。(ティアナのサポート効果込み) ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 センターガード ティアナ 1/0 3000/1/0 緑 キャリバーズ スバル&ギンガ 1/0 4500/1/0 緑 ・関連ページ 「なのは」?
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3158.html
「……何だこのアルター?」 今までロストグラウンドの便利屋としても数多くのアルター能力と戦ってきた経験があるカズマにしてみても、眼前に現れたソレは奇異そのものだった。 「十五年前に拾った古びた玩具………実はソレこそが私のピンチを救ってくれるヒーローの導き手だったのです」 その一方で先程の憐れを誘うまでの泣きべそっぷりは何処へ行ったのか、不敵な笑みと圧倒的な自信を窺わせる態度でエマージーはそんなことを言ってくる。 無論、カズマにしてもヴィータにしても彼の言っていることの意味などさっぱり分かるはずもない。 だがエマージーの方もそんな相手の理解の程など気にしていないように、自身の自慢なのであろうその出現した己がアルターへと命令を飛ばしていく。 「さぁ行け、スーパーピンチクラッシャー! パワードライフルッ!」 エマージーのよく分からないポージングと共に彼の手首に巻かれている腕時計が光る。かつてテレビで見た良く似たアニメから察するに恐らくアレであのロボットへと命令を下しているのだろうとヴィータは察した。 一方、主の命を受けたスーパーピンチクラッシャーはそれこそいきなり巨大な銃を取り出してくると共に、それをこちらへとその銃口を向けてくる。 カズマもヴィータも次の瞬間の反応は速かった。 「衝撃のぉぉぉおおおお………ファーストブリットォォオオオオ!」 カズマは地面を叩くと同時にその反動を利用して跳躍。その背中の羽根の一片が砕ける圧縮された力を利用しての拳による一撃を敢行。 「アイゼンッ!」 『Schwalbefliegen』 そしてヴィータもまたアイゼンに檄を飛ばすと同時に四つの鉄球を自身の前へと展開。それを一斉に対象へと目掛けて鉄槌にて叩き飛ばす。 スーパーピンチクラッシャーは両者同時に動いたのに対し、カズマの方へと反応……跳躍し接近してくるカズマへとその巨大な銃口を向け一斉に銃火を発生させる。 だがそんなものは物ともしない勢いと速度で迫ってくるのがカズマの衝撃のファーストブリットである。眼前に迫ってくる銃弾を拳で弾き飛ばしながらそのまま勢いを止める素振りすらなく相手の頭部を拳で粉砕した。 ほぼ同時のタイミング、ヴィータの放ったシュワルベフリーゲンもまたスーパーピンチの胴体を貫き穴開きにしていく。 ………ものの一瞬、それだけで自称無敵のヒーローは破壊されてしまった。 各所に火花を散らしながら、流石にダメージが大きいのかヒーローは膝をつく。 直後、危なげなく着地したカズマは相手のその様を見て叫ぶ。 「ハッ! 何が無敵のヒーローだッ!?」 話にもなりはしない、そんな態度も顕に見せるカズマに対し、しかし無敵のヒーローの主は一向に慌てた様子すら見せない。 それどころか……… 「知らないのですか? スーパーピンチクラッシャーは危機に陥るほど強くなる」 余裕、まさにそんな態度を見せ付けながらスーパーピンチクラッシャーの傍らへと歩み寄ってくるエマージー。 隣に並ぶ己のヒーローに何ら不安すら抱いてはいない………そんな態度であった。 「それでこそ私の―――ヒーローなのです!」 そう絶対の自信を誇るようにエマージーはその命令を飛ばす腕時計を巻いた手を高らかに掲げる。 瞬間、またしてもエマージーを虹色の光―――アルター発現の粒子が覆い、それだけでなくそれは傍らに膝をついているボロボロのスーパーピンチクラッシャーへも同様に広がっていく。 再構成の光がスーパーピンチクラッシャーの損傷を瞬く間に修復し、眼前には再び無傷のヒーローが復活を果たす。 「だったら今度は全部ぶち壊すだけだなぁ」 「まぁ、基本だな」 それを見て不敵に笑いそう告げるカズマと、鉄槌をしっかりと握り直しながら同じように身構えるヴィータ。 どちらも巨大ロボットを前に臆す心算も退く様子すらも更々見せる素振りなど無い。 まるで強大であればある程面白い、かかって来いと言わんばかりの闘争にて相手を迎え撃つ態度であった。 「……あぁ、ホーリーに喧嘩売っとる」 そう呟いているのはその戦いの様子を呆然と見守っていた外野―――町の住人たちである。 君島とスバルもまた同様に最前線からその自身たちの仲間の戦闘風景を見ていることしか出来なかった。 「……なぁスバルちゃん、君は加勢しないのか?」 それでも一応と思い君島は隣のスバルへとその疑問を尋ねる。 尤も、仲間同士であったはずのヴィータとエマージーが対立している現状……どちらに加勢すべきかは彼女としても困ったところだろうとは思う。 それでも一応は君島は未見ではあったもののこの少女もまたカズマと渡り合ったほどの実力者であることは知っている。彼女ならカズマ側に加勢してくれれば心強いとも思うのだが……… (………尤も、そんなことされる方がカズマにしたら迷惑なのかもしれないがな) 事実、戦闘中であるにも関わらず此処から見ていても一応は共闘関係であるはずの二人の様子ですらいがみ合っているかのようなギスギスとしたものだ。 ここでスバルまで乱入したらそれこそ構図は大乱戦に変貌しかねない。 その辺りの空気は彼女もまた察していたのだろう、君島の言葉にスバルは苦笑と共に首を振った。 「………私が入ってもきっと邪魔になります。それより……今は此処で君島さんや町の人を護ろうと思ってるんですけど……いけませんか?」 そう訊いてきたスバルに君島もまさか邪魔と言えるはずもない。むしろ距離を取っているとはいえ強力なアルター使い同士の争いだ、余波がここまで達しないとも言い切れない。 それを考えれば、ここに留まり護ってくれるというスバルの判断は君島達にとっても大助かりだ。 ただ……… 「………良いのかい? 君もホーリーだろう。こんなことしてて問題になったりしないのかい?」 一応は敵である存在に何を自分は気を遣っているのかと馬鹿らしくもなってくるが、それでも気にかけてしまっているのも事実、だから君島はそんなことを言ってしまっていた。 だがスバルの方は君島のそんな言葉にそれこそ気にした様子もなく笑って言ってきた。 「良いんです。私がしたいことだからするだけです。………それに、あの人もきっとそれで良いって言ってくれるはずですから」 何が正しくて、何が間違っているのか。 正義の有無も在り方も今は自分にも分からない。 だからこそ、せめて今は自分がしたいこと、正しいと思ったこと、信じた事を間違えずにやっていこうと決めた。 きっとそれが一番大切なことだと思ったから。 ………そうですよね……私はこれでいいんですよね。 なのはさん………。 「貴方方の行動は全て無駄に終わります」 何処にそんな自信を持っているのか、不敵な笑みを自信と示しエマージーはそんなことを告げながら次にその手を天へと伸ばす。 「出でよ! 大いなる翼―――ピンチバードッ!」 その呼びかけと共に天空から舞い降りるは機械仕掛けの一羽の巨鳥。 それは空中にて姿を紅色の巨人へとその姿を変形させる。 「超! ピンチ合体ッ!」 続いて叫ぶその言葉と共にスーパーピンチクラッシャーが宙へと飛び上がりその紅色の巨人に向かって言葉通りの合体を行う。 三倍以上の大きさのその紅の巨人の中へとスーパーピンチクラッシャーは定位置とばかりにスッポリと収まる。 そしてスーパーピンチクラッシャーが収まると同時に、開いていたその部分は閉じ、遂に合体を果たし完成した巨人がその姿を現す。 「グレートッ……ピンチィ………クラッシャァァァァアアアアアアアアアア!」 エマージーの叫びが響き渡ると同時、無敵のヒーローがその場へと君臨する。 其の名は―――グレートピンチクラッシャー。 崖っぷちからエマージーを助ける為に現れ、どんなピンチも凌駕する……無敵のヒーローである。 「で、どうしようっての? こんなんで」 「……ますますアニメだな」 鼻で嗤う様な態度も顕にそのグレートピンチクラッシャーなるロボットを見上げながらカズマは訊く。 確かに人間の十倍以上もありそうな全長は凄まじいものがあるのは事実。だが先のスーパーピンチクラッシャー同様に所詮はデカブツに過ぎない。 己の拳で先程同様に打ち砕くだけだとカズマは思っていた。 それは程度の差こそあれヴィータもまた同じ。こちらは呆れた呟きを漏らしたものの先程よりは多少真剣な目つきで対象を見るようになったとはいえ、それでも臆するなどの様子は微塵も窺わせない。 「今度は貴方方にピンチを贈呈しましょう」 だがエマージーの方はそんなカズマたちの態度すらも嘲笑うような口調で、確定事項のようにそんなことを宣言してくる始末。 無論、それにカズマが反応しないわけが無い。 「じゃあやってみろよ!」 「では………お言葉に甘えて!」 カズマの促がしに乗るようにエマージーは応えながら、自身の無敵のヒーローへと命令を飛ばす。 「デンジャァァアアア………ハザァァァアアアアアアアアアドッ!!」 エマージーのその宣言と同時、カズマとヴィータのいる地点へとグレートピンチクラッシャーはその胸部からエネルギー弾の数々を雨霰と撃ち込んで来る。 流石にその量にはヴィータも驚き、咄嗟に防御魔法を展開しながら後ろへと飛んでかわす。 だがそれとは対照的にカズマの方は、その弾雨の真っ只中へと自ら進んで飛び込んでいく。 「馬鹿ッ! 危ねえぞッ!」 「馬鹿はどっちだ!? ここで退いてどうすんだッ!」 咄嗟にヴィータは叫び呼び止めようとするも、カズマから振り返りもせずに返ってきた怒号はそれを打ち消すほどに無謀な内容だった。 だがヴィータの目からは正気を疑うその行為も、ブレーキやストップという概念やネジがぶっ飛んでいるカズマにしてみれば当然の選択だ。 むしろ保身を優先したヴィータの行動の方がカズマの目から見ればただの逃げの姿勢でしかない。 「敵は前にいるんだろうが!? 後ろに下がって誰と戦うってんだ!?」 そんな勇気と無謀が紙一重………否、明らかに履き違えたような叫びを残してカズマは突進する。 「撃滅の……セカンド―――ッ!? うぉおおッ!!」 第二撃―――撃滅のセカンドブリットを敢行しようとするも、やはり流石にあの弾幕の突破は無理だったようで、カウンターのように被弾し吹き飛ばされる。 そしてエマージーはそれすらも見逃さない。むしろ好機と判断し更なる追撃を仕掛ける。 「ハザードッ! 連弾ッ!」 その斉射速度は勢いを増し、弾雨は吹き飛ぶカズマの周囲すらも吹き飛ばし次々と破壊していく。 それは後ろに下がったヴィータの地点はおろか、廃橋そのものを破壊する勢いで迫ってくる。 頑丈さにはなのはと同様に自信があるヴィータでも、あの勢いと威力の弾雨を凌ぎ切れるかどうかは微妙だった。 空中へと回避、それを咄嗟に選択し実行に移そうとしたものの……… 「………ちっ! 世話焼かすな」 吹き飛んでくるカズマを見て、その追撃を受ける様子を見捨てて置けなかったヴィータは結局舌打ちを一つ吐きながら彼の方へと飛んでいくのを選んだ。 どうしてこんな奴を助けようとしているのか………成り行きとはいえ元々はコイツを自分は倒しに来たというのに、その当人を助けようとしているなどどうかしている。 「………それでも、仕方ねえだろ!」 自身でもヤケクソだと認める叫びを上げながら、吹き飛んでくるカズマを回収。迫る弾雨を前に防御魔法―――パンツァーシルトを発動。 正直、アルター等という未知の力で構成されたエネルギー弾をシールドで弾くことが出来るかはある種の賭けだったが…………何とか成功する。 尤も――― 「―――ッ!? チィ!!」 舌打ちが漏れるほどに迫り来る圧倒的弾雨の量は予想外。魔力を総動員して防御を続けるも凌ぎ切れるかどうかすらも正直怪しい。 しかし腐っても己はベルカの騎士、こんなインチキヒーローを相手に後れを取るなど己のプライドが決して許しはしない。 「舐めんなぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 咆哮を上げるヴィータ。その真紅の魔力光が輝きを増し、突破されかけるその状況を建て直し……見事、凌ぎきった。 そしてそれだけではない。 抱えていたカズマを放り投げ、消耗する身体に鞭打ちながら一気に反撃へと出るために飛翔。 高速で鉄槌を構え突撃を敢行するヴィータだが、その振るわれる鉄槌をグレートピンチクラッシャーは己が拳で受け止める。 「なっ!?」 「貧弱、貧弱ゥ! その程度で私のピンチを倒そうなどと―――笑わせてくれますねぇ!」 喝采を上げるかのように叫ぶエマージー。明らかに侮蔑を含んだ相手の挑発にヴィータの騎士としてのプライドがそれを許さない。 「舐めんなって………言ってんだろぉおおがぁぁぁああああああああああああああああああ!!」 『Giganntform』 主の叫びに応え、鉄の伯爵はその姿を通常のハンマーフォルムから変更―――ギガントフォルムへとその姿を変える。 押し切るように接触する巨人の拳面へと振り切る。瞬間、発生する爆発音。 見ればグレートピンチクラッシャーの右拳はヴィータの振り抜いたギガントハンマーのダメージで破壊されていた。 それだけではない。ごり押しの力押しで振り抜いた勢いはそのまま相手の真紅の巨体をよろめかせ、大きくその位置を後退させる。 この時点で十倍以上の質量差を相手に信じられない大健闘を示しているヴィータだが、既に心身ともにかなりの疲労を示し、その姿は荒い息を吐いている最中だった。 しかし、まだ彼女のエマージーへの怒りは欠片も治まってなどいない。 ギロリと眼下のエマージーを見下ろす。己のヒーローが自分のような幼い外見の少女に力比べで後れを取ったという事実が信じられないのか、その目は驚愕に見開いている。 ざまあみろ、内心で僅かばかりの溜飲の下がる気持ちが湧くもそれも今は後回しと抑えつける。 今が最大の相手に追撃を仕掛けるがら空きの好機と判断したヴィータは今度はそのままエマージー目掛けて一気に下降。 眼前に迫る相手目掛けて相棒の鉄槌を振り下ろし――― 「なっ!?」 またしても信じられないといった驚愕の叫びを上げていた。 「いやぁ、見かけによらない貴女のパワフルさ……中々に背筋もヒヤリとさせられる心地でしたよ」 上機嫌にそんなことを言ってくるエマージー。 その頭上には少女が振るうにはあまりに不似合いな無骨な鉄槌が存在しているが、それにすらまるで気にした様子も無い。 因みに、寸止めのように止まっているヴィータのグラーフアイゼンだが、決して彼女自身が自らの意志でそのように止めているわけではない。 それどころか、彼女はこのいけ好かない男へと呵責も無くブチかます心算で鉄槌を振り下ろしたはずなのだ。 ………それが、何故止められているのか? 「ですがどうやら、貴女のご自慢のそのハンマーも私のこのピンチガードを破るには至らなかったようですね」 そう誇らしげに語るエマージー。 彼が頭上の鉄槌を前に掲げるかのように示す腕時計……それを中心に展開されエマージーを護るように発生している暗紫色の障壁。 ピンチガード………スーパーピンチクラッシャーと並ぶもう一つのエマージーの切り札。あらゆるピンチから直接的にエマージーの身を護る防護障壁である。 エマージーの元をスーパーピンチクラッシャーが離れた際に彼の身を護る最後の切り札、それが起動し振り下ろすヴィータの鉄槌を防いでいたのだ。 「この……ッ……!」 「無駄ですよ。お疲れの今の貴女ではコレは破れません」 必死になってピンチガードを破ろうと力を込めなおし鉄槌を握り直して踏み込んでこようとするヴィータだったが、エマージーの指摘通り、先の無茶で大幅に消耗した今の彼女では障壁を破ることはできそうにもない。 「さて―――ではヒーローの反撃のターンです!」 宣言するエマージーの言葉通り、後退していたグレートピンチクラッシャーは拳を再構成し終えると共にそれをヴィータ目掛けて再び振り下ろしてくる。 咄嗟にヴィータは後方へと素早く飛んでそれを回避。 しかし追撃として放ってきたデンジャーハザードを前に再び防御魔法を展開してそれを防ぐことにその行動を縛られる。 何とかそれを凌ぎきったものの、その次の瞬間に迫ってきたのは巨大な紅の拳。 回避は間に合わず、防御魔法の展開すらもタイミング的にやはり同じく間に合わない。 ヴィータに出来たことは咄嗟に相棒のグラーフアイゼン……ギガントフォルムへと変形しているその巨槌を盾代わりに前へと構えるだけ。 次の瞬間、全身に走る衝撃にそれこそ身体をバラバラにされたかのようなダメージを感じながら、直撃した拳の一撃にヴィータは吹き飛ばされた。 そもそも人間とは大きさもパワーも桁違いの拳の一撃だ。デバイスとバリアジャケットという衝撃吸収の為の余地があれどもその威力とダメージは並大抵のものではない。 悲鳴を上げながら吹き飛んでいくヴィータをエマージーは嘲笑うように見届けながら漸く立ち上がった様子のカズマへと視線を向け直して訊く。 「流石は私のヒーロー、物凄い威力です。………さぁ、カズマ君! このピンチをどう切り抜けますか!?」 尤も、切り抜ける方法などはありはしないと思っているであろうことはエマージーの態度を見れば明らかだった。 だがそんなものカズマには知ったことでは無い。 「決まってんだろッ! この拳でだッ!」 後にも先にも、自分が唯一誇り信頼する拳(コイツ)以外でどうやって状況を打破する? ………ピンチ? 上等だ! んなもん打ち砕いてやるよ! そんな決意も顕に再び展開される弾雨の中を先程同様に突っ切る勢いでカズマは無敵のヒーローへ向かって突撃していく。 ギリギリで弾雨を回避しながら、遂に拳を叩きこめる後一歩という位置まで到達。跳躍してそのいけ好かない鉄面皮に拳をぶち込もうと振りかぶる。 だが真正面から一発、飛んで来たエネルギー弾に被弾し再び地面へと叩き落される結果へとそれは終わる。 「よーし、トドメだッ!」 それをチャンスと判断したのだろう、勝負を決めるべくエマージーがグレートピンチクラッシャーへと必殺技の解禁を命じる。 主の命へと答え、紅の巨人は宙へと飛んでいく。そして雲を突っ切り太陽を背にしながら―――遂に、ソレを解き放った。 背部の飛行バーニアとなっている翼―――ソレが分離すると共に変形し一本の巨大な剣となる。 「ラストチャンス………ソォォォォオオオオオオオオオドッ!」 エマージーの叫びが木霊する。 そう、これこそが無敵のヒーローの切り札。 あらゆるピンチからエマージーを救い出す無敵の剣―――ラストチャンスソードである。 「さぁ、カズマ君。今の私はがら空きです。彼の必殺技を受ける前に私を倒してみては?」 そんなことを誘うように言ってきているエマージーだが、先程のヴィータの一撃を防いだ時と同様にその身はしっかりと例のピンチガードにて防御されていた。 ………尤も、そんなものカズマには有ろうが無かろうが一切関係が無い。 それも当然だろう、そもそも――― 「なに言ってんだ………あのデカブツを倒した方が面白えだろうが」 ―――今ぶっ倒したいのはこんなひょろりとした雑魚ではない。あの余裕をかまして好き放題攻撃してくれた無敵のヒーロー様とやらの方だ。 カズマの中の反逆魂があのデカブツの自称する無敵とやらを打ち砕けと、拳を強く握らせて仕方ないのだ。 だからこそ狙うのはあくまでもあの巨人、本体のヘタレになど用は無い。 「残念です。貴方の拳も受けきってこのピンチガードの有用性を更に確かめたかったのですが。………まぁ良いでしょう。では―――」 エマージーの言葉が終わるや否やというタイミングで、既にカズマは跳躍。当然向かう先は空中にて巨剣を構えているあの巨人だ。 「抹殺のぉぉぉおおお………ラストブリットォォォオオオオオ!」 最後に残っていた赤い羽根の一片が砕け散る。 シェルブリット第一段階においての最後の一撃……文字通りに抹殺のトドメとなる一撃を持って空中の巨人目掛けて拳は飛んでいく。 「逆転ッ………閃光カットッッ!」 それを迎え撃つは紅の巨人が構えし必殺剣。青の炎を刀身へと走らせ雲間を断絶しながら大上段からカズマ目掛けて振り下ろされる。 そして衝突する―――拳と剣! ………勝敗は瞬時についた。 一瞬の拮抗を見せ青の炎を展開する刀身の色が橙色に変わり押し止るも………それも所詮は一瞬。 抹殺のラストブリットは逆転閃光カットに押し負け、そのままカズマは振り下ろされる剣の衝撃に弾き飛ばされ、地面へとクレーターを作って叩き落された。 「―――カズマッ!?」 「あ、駄目です! 危ないから前へ出ないで!」 その光景を遠目に見ていた君島は、相棒の敗北に彼の名を叫び驚きながら咄嗟に助けへ向かおうと走り出そうとするもスバルに抑えられて阻まれる。 「離せ! 相棒のピンチなんだよ! 俺が助けに行かなくて―――」 「自惚れないでください! 今の貴方が行って何が出来るんですか!?」 振り払おうと怒鳴りつけようとした君島のその言葉も、更に上回る声量でのスバルの一喝と力を更に強く込められて取り押さえられたことで不発に終わる。 むしろ君島としても先程からとは打って変わったスバルの怒りとその勢いに戸惑い………そして何より言われたその言葉の内容にショックを受けてもいたのだ。 自分が行って何になるのか? 事実、その通りだ。 勢いに任せてカズマの元へ駆け寄ったところで、そこから先に何が出来るわけでもない。 担いで逃げることなど、あんな巨人の前には不可能だ。代わりに抗戦などそれ以上に論外。 ………結局の所、ただの人間でしかない君島邦彦には何も出来る事などない。 ………そう、何も、無いのだ。 けれど――― 「………でもよぉ………それでもよぉ―――」 ―――それで納得して、諦められるはずがない。 力も無い、アルターも持たない。 勝てっこなければ、向かったところで邪魔にしかならない。 ………分かっている。そんなことは悔しいほどに既に経験済みだ。 それで自分は一人逃げ出して、寺田あやせを助けることもできなかったのだ。 あの時の己への無力感………やるせなさ………そして怒り。 ああ、忘れられるはずなど無い。 だからこそ―――もう腹を括ったのだ。覚悟を決めたのだ。 カズマの相棒として、逃げずに、振り返らずに、最後まで一緒に戦ってやると。 その約束を反故にして、今度こそ相棒も救えずに逃げ出してしまえば………それこそ君島は本当に自分自身を許せなくなる。 だから――― 「出来る出来ないじゃねえんだよ………やるんだよ! やるしかないんだよッ!」 そう叫び、力の限りスバルを振りほどこうと君島は足掻く。 相棒を………カズマを助けに行く為に。 だがそれをスバルは必死に阻止する。 絶対に離すわけにはいかない、そんな思いも顕に抵抗する君島を力づくで抑えつけ続ける。 当然だ、どう考えても彼がやろうとしていることはただの無茶だ。勇気でも何でもない、生命を粗末にするだけの無謀な行いを許せるはずが無い。 災害救助で人の命を守る陸士としても、機動六課の一員としても。 そして………無茶は駄目だと教えられた高町なのはの教え子の一人としても。 君島邦彦が断行しようとする無謀な行いをスバル・ナカジマは許すわけにはいかなかった。 だが同時に、スバルとて君島の気持ちが分からないわけではない。 それもそうだろう。今の彼の状況を自分と置き換えて見れば、自分もまた彼のような行動に本当に出ないかどうかなど分からない。 だからこそ、たとえその無謀を許せずとも理解が出来ないわけではいないからこそ君島を力づくで押さえつけていることに対して良心が痛む。 (……私は……どうすれば………?) それこそ誰でも良いので、迷い無い答えを教えて欲しいと切に願わずにはいられなかった。 そうして外野がそれぞれの信念と主張で行動しようとしている最中で、当の中心である彼らの戦いは一応の決着がついたと見てもよかった。 グレートピンチクラッシャーは無敵のヒーローの名に違わず圧勝、敗北したカズマは地面にあけたクレーターの中に倒れ、シェルブリットも既に解除されている。 「やったぞ、ピンチ! 僕のためなら君はどんな時でも助けに来てくれる。どんな敵でも倒してくれる。これで市街の永住権が貰える! 全て君のお蔭だ、ありがとう!」 この結果に満足するように小躍りしそうなほどの上機嫌で己のアルターを見上げながら叫ぶエマージー。 勝利者として君臨し、任務達成と待っている報酬への期待と喜びで彼の気持ちは一杯となっていた。 だが――― 「……ふ…ふざけん……なって…の……ッ!」 そんな中、それでも再びしぶとく立ち上がる男が一人―――無論、カズマである。 ボロボロでふらついた足元もあやふやな状態で、しかし隠すことも無い苛立ちも顕にエマージーへと睨みを叩きつけ、カズマは吼える。 「助けられるのが、そんなに嬉しいか!?」 気に入らない……あぁ、酷く気に入らない。 理屈や理由などの云々を抜きにしても、ただ只管にカズマはエマージーが気に入らなかった。 「助けられて何が悪いのですか?」 だがエマージーからしてみれば、そんなカズマの吼えて噛み付いてくる態度すら、その問いと同じく理解不能だ。 当然の如き解を当然の疑問として言ってくる相手の言葉など理解できるはずも無い。 少なくとも、エマージーの価値観からすれば………。 「……何かに頼ってる奴は、何も出来ねえんだよぉ!」 そう言いながら一歩一歩と再びグレートピンチクラッシャーへと向けて歩き出すカズマ。 そのボロボロの身体で、最前にあそこまで決定的に敗北しておいて尚、まだ諦める心算もないと見せ付けるかのような行動である。 「う~ん、素晴らしい演説をありがとう。………しかし、そんなピンチっぷりで君は何を成し遂げようというのですかねぇ?」 パチパチとふざけたような拍手と笑みで啖呵をきったカズマへと返答するエマージー。 今更カズマがどれだけ居丈高に吼えようが、所詮は無駄なこと。勝負は既についている。 グレートピンチクラッシャーが存在する限り、自分は負けない。無敵のヒーローがこんな野蛮人如きに負けるはずが無いのだとエマージーは信じて疑わない。 だがそんな勝手な決め付けに反逆してこその反逆者。 ましてここまで虚仮にしてくれたムカつく野郎ならば尚のこと。 こんな甘ったれた野郎と、そんな野郎を護って無敵だとか謳っているヒーローだけには死んでも負けてなどやるか。 そんな思いが、カズマを再び突き動かす。 「へ、分かってねえな。一方的に縋ってるテメエは、過去に縛られてるテメエは、実は何も掴んじゃいねえんだッ!」 だからこそ―――その相手の温いまやかしをぶち壊す。 この自慢の、俺だけの拳を持って―――ッ! 「見せてやる! 俺の……この俺の―――決意をッ!」 瞬間、カズマのその叫びと同時に彼の周囲の物質が音を立てて消滅。 否、これは彼が纏う虹色の光が証明しているように分解による再構成―――アルター能力の発動である。 先程敗れたシェルブリットではなく、その上、その先にあるあの力を引っ張り出してくるためにカズマは右手を掲げ咆哮を上げる。 「もっとだ!」 そうまだ足りない。 「もっとだ!」 まだ足りない、更に上がある。 「もっと―――ッ!」 限界など定めるな。あの時のように、あの女と真っ向からぶつかり合ったあの時のように。 「もっと……輝けぇぇぇええええええええええええええええええええ!!」 ただ只管に、反逆の信念をこの拳へと掻き集めろ。 カズマの叫びと同時、虹色の輝きは集束し光を増し、その色は煌かんばかりの黄金へと進化していく。 「あの光は………ッ!?」 「あれは………あの時の」 その光景を君島とスバルもまた確認すると共に呆然とどちらからともなく呟きが漏れる。 知っていた、あの輝きを両者共に以前目にしたことがあった。 君島にとっては、あの日カズマと共に戦いぬくと覚悟を決めた切っ掛けともなった黄金の輝き。 スバルにとっては、真正面から自分の全力全開を破られたあの自身では届かなかった悔しさを憶えたあの輝き。 両者共に、その再びの輝きの顕現にもはや言葉も無く呆然と見せられるしかなかった。 「……アレが例のやつか」 そしてヴィータもまた遠目からその輝きを確認しながら、思わずそんな事を呟いていた。 グレートピンチクラッシャーに殴り飛ばされ、不覚にも瓦礫に埋もれて意識が飛んでいたのを慌てて覚醒と共に跳ね起きて戻ってくれば目撃したのがソレだ。 一目で分かった、アレがあの男がなのはの魔砲と渡り合うために使用した切り札だと。 或いは、この時不覚にもヴィータもまた無意識の内に魅せられていたのかもしれない。 あの男が……カズマが放っているその輝きに。 「……な…何ですかソレは!? き、聞いていない私は!?」 慌てふためき叫び取り乱すエマージー。それも無理なかった。こんな事態、相手が隠し玉を持っているなどジグマールからは任務を下知された際にも聞いていなかったのだから。 しかもそれが、本能的に恐怖を喚起させられる決定的なものともなれば尚更だ。 アレは間違いなく危険だ、限りなくデンジャラスなピンチをもたらす危険なものだ。 嫌だ、そんなものなど相手になどしたくない。 だがエマージー・マクスウェルの側がそうどれだけ思おうが、既にカズマには関係ない。 準備は整い、解き放つことを今更やめる気など更々無いのだから。 「これがッ………掴んだ力―――」 だからこそ、そう叫びながらその右腕を眼前に掲げてカズマは相手へとコレを打ち込むべくその動作へと移る。 「だ、駄目です! た、助けて! グレートピンチクラッシャァァァアアアアアア!!」 だからこそエマージーはそれを阻止すべく、己にとって最後の希望の砦たる無敵のヒーローへといつものように頼る。 紅のヒーローは主の助けに応じ、カズマを排除するべく動き出す。 カズマの方もまた右腕の甲が開き、拳に凄まじいエネルギーと輝きを集束させながら、背の尾をローターのように回転させて浮上を始める。 「―――シェルブリットだッ!」 己が誇る、己だけの自慢の拳、その力の名を宣言すると共に巨人に向かい飛び立った。 真っ直ぐに、ただ真っ直ぐに―――眼前の壁を打ち砕く為に。 巨人もまた迎え撃つように、その先程カズマを破った必殺剣を掲げて振り下ろしに入る。 「テメエのピンチも……これまでだぁぁぁあああああああああ!!」 「ぎゃ、逆転閃光カットッ!」 ―――そして再び激突する、拳と剣! 今度のソレは先程の比ではない衝突と、エネルギーのぶつかり合う反動を発生させ、瞬く間に発生した光は辺りの人間の視界を焼いた。 眩しさに目を眩ませる町の住人たちと君島、そしてスバル。 激突のその光景を食い入るように気づけば見つめていたヴィータ。 輝きが集束していく結果、残ったのは――― 反動を受けて弾き飛ばされ岩壁に激突するカズマ。 しかしその結果は敗北ではない。それどころか、むしろその逆。 カズマが弾き飛ばされたのとほぼ同時、崩壊を始めるように崩れていく紅の巨人。 その光景は間違いなく、剣で受け止めた先を越えてダメージが浸透していた証拠。 それでもそれは無敵のヒーローの矜持なのか、崩壊していく紅の機体を乗り捨てるように中からスーパーピンチクラッシャーが飛び出して脱出する。 だがそこに駆け抜ける閃光のような赤い影。 「言ったろ、“鉄槌の騎士”を舐めるなってなぁ!」 往生際の悪いヒーローへとトドメの一撃を振り下ろしたのは、吹き飛ばされていたのを戻ってきたヴィータだった。 先の一撃のお返し、借りは返すと言わんばかりに振り下ろした巨槌は今度こそ頭頂から巨人を粉々に粉砕して見せた。 最後の希望の砦たる、己の無敵のヒーローが砕け散っていく様を見て呆然となったのは言わずもがなエマージー・マクスウェルである。 「……そ、そんな……無敵の、ヒーロー……僕のヒーローが!……誰か、誰か、僕のヒーローを―――ッ!?」 アルターの顕現の証だった腕時計が消滅し、取り乱しながら後ずさり狂態を曝け出し始めた彼を次に襲ったのは、皮肉にも敵対したカズマでもヴィータでもなかった。 それは上空から、先のカズマの一撃で弾き飛ばされていた彼のヒーローの剣。 ラストチャンスソード。どんな崖っぷちのピンチすらも切り抜ける己の無敵のヒーローが扱う必殺剣。 それが己の眼前へと落ちてきて、地面へと突き刺さり、足場を砕き自分を崖底へと落としたのだからなんと言う皮肉だろうか。 “崖っぷちのマクスウェル”。数多のピンチを乗り越えてきた彼も今度という今度はその崖っぷちを乗り越えることも出来ず、絶叫を上げながら崖の下へと落下していった。 だが岸壁の欠片と共に落下していく彼を海に落下する前で間一髪に駆けつけて拾い上げた影が一つ。 「……テメエみたいな奴でもな、やっぱ死なせられねえしな」 そう疲れたように、諦めたように溜め息を吐いて呟いたのはヴィータだった。 ショックで気を失っている彼を担ぎ上げながら、外道といえども見捨てられぬ己の甘さにヴィータは呆れてもいた。 まぁ、管理局員としては間違った行動をした心算もないし、八神はやてに仕える誇り高き守護騎士としても、選ぶべき行動だったのは分かっている。 「けど結局ぶっ飛ばした相手を自分で助けてたら……ほんと、何しにやって来たのかも分からねえな」 難儀な選択をしてしまったものだと反省しながら、飛び上がり空中から眼下を見下ろし件の男を発見する。 こちらが見下ろすのと同様に、あちらもまた睨み付けるようにこちらを見上げていた。 「……今日のところはここまでだ。けど……次会った時は容赦しねえからな」 小さく漏らしたこの呟きは相手にまで聞こえない。だが別に良い。これは単に自分自身にも言いきかせるように言った言葉に過ぎない。 変な成り行きで結果的に共闘なんていう虫唾も走るようなことをしてしまったが、眼下の男が基本的に自分にとって、否、自分たちにとって敵であることは変わらない。 だから今度は打ち砕く、必ずに、例外も挟むことなく。 改めてそう決定しながら、ヴィータは念話でスバルを呼び出し帰還をするように促がす。 今回ばかりは任務失敗、責は己が背負う。だが高くつく貸しだと相手へと思い知らせる為に最後にヴィータは思い切り息を吸うと共に叫んだ。 「次は必ずテメエをぶっ飛ばす! 良く憶えときやがれ!」 叫んだ後に気づいた、これでは自分の方が捨て台詞を残して撤退する三流小悪党のようだ、と………。 ヴィータから念話での撤退指示に促がされ、スバルは未だ捕まえていた君島から漸くに手を離し、その行動へと従うことにした。 「……すみませんでした。色々と」 結果的には間違っていなかった、自分の行動を振り返ってみてもそう思いたかったスバルだが、それでも口から出たのは君島に対しての謝罪の言葉だった。 一方で、君島の方が逆に彼女から謝られ驚いている始末でもあった。確かに結果的に相棒を助けに行くのを邪魔された、だがそれでもそれによって自分の命が助かったのも事実だ。 冷静になって振り返ってみてもスバルの行動こそ正しく、自分が彼女を責めることの出来る謂れなど何処にも無い。 それを認めねばならないと思ったからこそ、君島はそのまま頭を下げた後に背を向けて去っていこうとしていたスバルへと呼び止めるように言葉をかけていた。 「スバルちゃん!」 名を呼ばれスバルは恐る恐ると言った様子で背後の君島へと振り向いた。 もう話す事も何も無いのに、それに邪魔をした自分に対して今更何を言うことがあるのかと疑問も抱いていた。 恨み言や罵倒だろうか……これまでの人生で直接そう言った言葉を殆ど受けたことが無い彼女にとって、一時とはいえ信頼し協力し合った相手からソレを向けられるのは多少の覚悟はあれどやはり辛かった。 だが己の立場としたことを思い返し、それを受け入れるのも仕方の無い事だろうとはスバルも諦めの境地と共に受け入れていた。 だが――― 「―――ありがとな、色々と助かった。感謝してるよ」 思ってもいなかった言葉が君島より返ってきたことに、それこそスバルは驚いた。 自分は仮にもホーリー、彼はそれに反逆するインナー。 そんな間柄であるというのに感謝の言葉を言われるだのとは思ってもいなかった。 或いは、この世界に来て初めて向けられた感謝の言葉だっただけにそれに対する衝撃も大きかったのかもしれない。 ……そう、初めてだった。 初めて、この世界に来て初めて……誰かから「ありがとう」等という感謝の言葉を言われた。 ずっとそんな言葉とは無縁な任務ばかりをこなし、それに疑問と迷いを大きく抱いていただけにその言葉は――― 「………ありが…とう……ございます……ッ」 ―――他の何よりも強く、彼女の心の内へと響いた。 震える声と潤む視界を見せるのを恥かしく思い、そのまま脱兎の如く君島の元より去るために駆け出すスバル。 背後からは君島の声がまだ何か聞こえていたような気もするが、それに応えてもいられなかった。 ただただ気恥ずかしさとそれをも上回る嬉しさが今のスバルの思いの全てであり、救いでもあった。 「……マッハキャリバー、私……ありがとうって言ってもらえたよ……」 滑走する己が相棒へとただ嬉しそうにスバルは語りかける。 漸くに、人を護り救うという彼女自身が願った本来の仕事を果たせた気がした。 相棒のその気持ちの昂ぶりを理解したのか、マッハキャリバーもまた何処か嬉しげな音声をもってそれに応えていた。 『良かったですね』 「……うん、本当に……嬉しかったよ」 君島邦彦に救ってもらった恩義のようなものを感じるのと同時に、また彼とはいつか会い、この恩を返したいとスバルは強く願った。 そう……願わくば、今度は互いに争い合う敵同士としてではなく………。 あっという間に去っていったスバルに何処か呆然としながらも君島は漸くにそこから正気に戻った。 「……俺、何言っちまってたのかね」 自分でもまさか敵に感謝の言葉を言おうなどとは呆れる他無い。 「……でも助けてもらったのも事実だしな」 実際、かのエマージーがばらまいた爆弾玩具の回収とて、町の住民に信頼されていたスバルの協力がなければ、これ程までにスムーズに手早く成功することもなかっただろう。 それにあの巨大ロボットとカズマたちが戦っている最中にだって彼女は自分を含め町の住民たちを戦闘の余波に巻き込まれるのを防ぐ為に頑張ってくれていた。 まさに命の恩人のようなことをしてくれていたのも事実だった。 ならば自然と、たとえ敵であろうとも感謝の言葉を告げてしまっても仕方の無いことだろうと君島は自分へと言い訳した。 「……カズマに言ったら殴られそうだな」 それはゴメンなのでその辺りのことは黙っておくかと君島は決めた。 そこで先程まで安否を気遣っていた相棒の事を漸く思い出し、君島は彼がいる元へと慌てて駆け出していった。 まったく今日は走ってばかりだ、そんな事を愚痴のように思いながら。 そう考える一方で、やはり思っていたことが一つだけあった。 (……スバルちゃん、か。………また会えるといいかもな) たとえ敵対関係であれ命を救われたのもほぼ事実。感謝の言葉を返しはしたがそれだけで借りを返せたとも思っていない。 ロストグランドに住み着く一介の無頼の一人としても、出来てしまった借りを返さぬままでいるということは据わりが悪い。 今度は出来るだけ穏便な状況で、出来れば敵対せずに何がしかの借りを返したいものだと君島は彼女との再会を願ってもいた。 「何て事をッ!」 そう怒鳴りながら桐生水守はその手を勢い良くデスクの上へと叩きつける。 その鬼気迫る相手の様子すらジグマールは涼しげに見ているだけである。 実際、水守にヘと突きつけた本土の所業……ひた隠しにしてきた彼女たちが求めていた『真実』とやらの提示。 その結果、彼女がこうやって激昂するのは目に見えていたことではあった。恐らく、この場に高町なのはが同席していたとしても同様の反応を示しただろう。 それは人間が持つ倫理観としてはむしろ肯定されるべき当然の反応。潔癖な水守たちが不快や憤りを顕に示したところで何の可笑しさも無い。 むしろこの真実を隠し、本土のやり方を受け入れている自分たちのような者こそを彼女たちだけでなく良識ある者ならば非難すべき対象と捉えるだろう。 「私はこの情報を公開します! 人には侵してはならない聖域があるのですから!」 それを当然の義務とでもするように、そしてこちらを外道そのものだと認識するように高らかに言ってくる桐生水守。 何とでも言えば良い、そう思う一方でやはり彼女たちでは駄目だとジグマールは結論付けていた。 能力の高さは認める、その気高き志にも敬意を表しよう。 人間としても……ああ、実に君たちの方が正しい。 だが――― 「………聖域?」 クククと嘲笑うように滑稽なその表現を呟き返しながら、ジグマールは瞬時に次の行動へと移っていた。 一斉に部屋のブラインドが下がると共に明かりが消える。 その異常事態に水守が反応するよりも早く、暗闇の向こうから巨大な手が五つ、一斉に彼女へと向かって飛んで来る。 水守の悲鳴が室内へと響くがそれだけだ。所詮は学者として優秀な頭脳を持とうが彼女自身はアルター能力を有しているわけでもないただの小娘。抵抗すら出来ない。 五つの巨腕に身体を拘束され、もはや水守には為す術も無かった。 それを冷厳と見下ろしながら、ジグマールが思ったことはたった一つだ。 ―――無様なものだ。 ただそれだけである。 人道を説き、倫理の尊さを指し示し、正しき人であろうとしても、そんなものはこうした明確な暴力の前ではまったくの無意味でしかない。 桐生水守は漸くに、身をもってそれを学習することになっていた。 どちらが正しいか、尊く思われるべきかなど此処では一切関係ない。 彼女の思い違いはたった一つであり、そしてそれは致命的な間違いでもあった。 此処がそれらの認識など何の価値も持たぬ無法の大地であるロストグラウンドであるということ。 それを忘れているのではないかとジグマールは思った。 だがこれで漸くに理解してくれただろう。 君たちの正しさや尊さなど、所詮は身勝手な単なる無意味で無力な善行に過ぎず。 そしてそんなものでは……何一つ、この大地を救うことなど出来はしないのだ。 「公開などと……もはやその青臭さは了承も承諾も出来ない」 そのようなことをされては、それこそロストグラウンドの……否、自分が護ろうとしてきた者の命運すらをも暗礁へと上げかねない。 そのような蛮行、このマーティン・ジグマールが許してなるものか。 「ご存知ですか? 本土こそ、アルター使いを人として見ていないのです」 そう、本土出身である彼女や、ましてや異世界の魔法使いでしかない高町なのはなどには決して分かりはしない。 ジグマール自身がアルター使いという名のモルモットとして受けてきた、あの過去がどれ程悲惨であったかなどと。 そして人としての権利すらも剥奪され、物の様に扱われていく同胞たちの無念と苦しみなど。 そして……己や愛する者もまた決してそこから逃げ出すことすらも出来ない地獄の歯車の一部でしかないことなど。 ……こんな小娘たちに、分かるはずが無い。 故に、理解も納得もいらない。 彼女たちに望むことはたった一つ、自分の邪魔をするな、ただそれだけである。 邪魔をして立ち塞がるというのなら……それはもはや敵でしかない。 そして敵だというのなら、排除することにすら自分は些かの痛痒すら抱かないであろう。 「だから私は、どんな手段も厭わない」 それがホーリーの……引いてはマーティン・ジグマールが在るべき在り方。 「―――私が、ホーリーであるために!」 勝ち続けることしか許されず、いつか救われるべき道も其処にしかないのだから。 故にこそ、こんな小娘たちはおろか、それら取り巻く全てにすら負けるわけになどいかないのだ。 敗北など、決して許されないのだから。 圧倒的な意志を元にそう告げてくるジグマールに水守はただ気圧されていた。 ダースたちのアルターに拘束され、周りをいつの間にかジグマールの腹心であるイーリィヤンや常夏三姉妹に囲まれ、万が一にも脱出できる可能性も皆無。 そこで漸くに水守は、己がまさに飛んで火にいる夏の虫の言葉通りになってしまったことを自覚した。 (……高町さん……ッ………劉鳳……ッ) 自分が信頼し想いを寄せている者たちへと助けを求めるような思いを感じるのと同時に、なんとか彼らへとこの自分が掴んだ情報を届けられないかと願った。 あの二人ならばこれを知ってくれればきっと………。 だが何の力も持たない水守には、この状況をどうにかするかなど絶望的なまでに不可能な所業。 もはや捕まった自分に未来は無いのだろうと、何となくではあったが確信できてもいた。 最後に、開いていた部隊長室のドアが閉まる。 これにより完全に外界から孤立し、助けの芽も潰えて水守の希望は儚く散った。 これが真実を知ってしまった代償かと思いながら、水守はただロストグラウンドに住む者たちの命運を最後まで祈り続けた。 その日、ホーリーから桐生水守は忽然とその姿を消した。 次回予告 第5話 ストレイト・クーガー 事実を知ることが悲しみであれば、騙されているのが幸せの時もある。 真実を知った女……桐生水守。 彼女が獄中で想いをはせるは――― クールで、いなせなあの男。 アルター使いの……あの男。 目次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3108.html 前へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3157.html 次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3151.html
https://w.atwiki.jp/mitlocke/pages/46.html
高町 なのは(L) ランク:A G(魔法少女リリカルなのは Strikers) 属性 ・女 ・魔導師 ・戦技教導官 ・人間 敗北条件 フェイト・テスタロッサが死亡していると敗北 能力値 ESP能力レベル 6 ESPパワー 40 耐久力 5 精神力 7 特殊能力 ・レイジングハートエクセリオン[戦闘][格闘(武器):1] 他の格闘武器と同時に使用できない。 ・ディバインバスター Extenion[戦闘][主要][攻撃][E] Cカードの~弾を使用して対象1体に防御不可・同調不可の攻撃を行う。 ESPパワーを追加で10消費する。 ・スターライトブレイカー ex-fb[戦闘][主要][攻撃][E] 戦闘参加後の4ラウンド目から1戦闘に1回のみ使用可能。 その戦闘で使用された、全キャラクターの攻撃Cカードと防御CカードのLVの総数を数える。 任意の複数対象に[LV:6 火力:(総数の半分)]で攻撃。 ・チェーンバインド[戦闘][主要][攻撃][E] 接触テレパスを利用し、ESP能力レベルチェックを行う。 成功した場合、対象は2ラウンドの間[支援]を行えない。 ・ブラスタービット[戦闘][支援][攻撃][E] LV:3以下のCカードを利用することで、[LV:3 火力:8]で対象1体に攻撃を行う。 ESPパワーを5消費する。 ・バリアジャケット(天使仕様)[全般][常動] 耐久力を宣言する時、常に最大耐久力を宣言する。 備考 プレイヤーA「ブラスタービット使います」 プレイヤーB(そんなにブラスタービット使って)「ESPパワー大丈夫か?」 プレイヤーA「今ESPパワー切れました」 A以外の全員「「「!?!?!?」」」 「バリアジャケット」は[常動]なので注意。 「ブラスタービット」を撃って主要で攻撃して相手の攻撃を防御すると、2~3ラウンドでパワーが切れる。 パワー消費をそこそこに抑えながら4ラウンド目以降にぶっぱして帰るのが上策。 Q.「ブラスタービット」って攻撃Cカードじゃなくても利用できるの? A.できます。パワーを使う「経験」のようなものと捉えておきましょう。 Q.「スターライトブレイカー」の「戦闘で使用された攻撃・防御Cカード」って? A.なのは自身が戦闘に参加してから、 実際に使用された(利用、破棄は含まない)攻撃・防御Cカードを指します。 逃避に使われたラフノールの鏡、打ち消しに使われた光の剣・リングは含まれません。 また、既に戦闘から離脱したキャラクターの使用した分も加算されます。(14/06/25) Q.耐久力が1減っている時に攻撃を受けました。この時、耐久力は何と宣言すればよいですか? A.通常であれば5です。耐久力がいくら減っていようと宣言値はパラメータの最大耐久力で宣言します。 このキャラクターへの意見 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/63.html
IDカード 管理局員が保有する身分証明カードで、氏名・経歴・所属などが書かれている。 識別チップが内蔵されており、各種のゲート通過の際などにも使用する。 映像モニタリング サーチャーによって観測された映像は、管制官によって各所に転送することが可能。 これにより、離れた現場の状況確認を迅速に行うことができる。 査察官 一般組織や施設の調査を行い、不正を発見することが主な仕事となる管理局の役職。 調査能力や対人交渉に優れたものが配置される。なお、各世界の管理局組織の査察を行う部署や担当も存在する。 訓練用魔法弾 射撃訓練の際は、体に残留ダメージを与えない衝撃弾に設定する。 高速・高威力の弾丸になるほどノーダメージ設定は難しく、命中後に内出血を伴う痣などが残ることも多く、 衝撃による骨折などの例も稀ながらある。 命中の苦痛や失敗を実感するための痛みは与えても、肉体にダメージは与えないバランスで弾丸を設定、 高速戦での運用を行うためには、長い訓練と経験、繊細な配慮が必要となる。
https://w.atwiki.jp/saikyoumousou5/pages/1619.html
【妄想属性】ニコニコ動画 【作品名】冥王少女リリカルなのは 【名前】木原なのは 【属性】天のナノライマー 【大きさ】成人女性並 【攻撃力】 「笑わせる・・・茶番は終わりだ」:相手の攻撃を一度でも防いだ場合、即座に相手を消滅させる。 「楽に死ねると思うな」:命中すると確実に行動不能になる程度のダメージを与える光線を放つ。 「チャージなどさせるものか」:敵が攻撃するよりも絶対に先に発動し、命中する。 敵の攻撃を確実に阻止しつつ、ビル破壊程度のダメージを与える。 「これも次元連結システムのちょっとした応用だ」:相手の行動を確実に束縛する。常時発動。 「塵一つ残さず消滅させてやる」:命中すると塵一つ残らない光線を放つ。射程無限。速度無限。 【防御力】 「その程度の手が見抜けないと思ったか?」:相手の攻撃を確実に受け止め無効化する。 【素早さ】 成人女性並。 【特殊能力】 「この俺を誰だと思っているのだ?」:常時発動。相手は威圧されて動けなくなる。 「人形に説明しても分からぬだろうがな」:いろいろ説明する。自分の強さとか。 「俺は貴様らの造物主にして冥王なの☆」:冥王なの☆ 「俺は木原マサキ! 父などではない・・・」:ママだ!! 【長所】はぁーっはっはっはっ!!! 【短所】ツンデレ ◆考察記録--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 688 格無しさん sage 2007/09/10(月) 21 51 42 木原なのは考察 常時発動の威圧による停止と行動束縛なので常時発動系のあたり 相手の攻撃が発動したらとはいうものの威圧とかで攻撃できんし 常時系の特殊能力とかは普通に効くし(攻撃じゃないから) 威圧の範囲がかいてないからこっちのこと認識してない奴やこっちが認識できないほど派なられてる奴にはきかないものとする 深沢 隆一 パス ×物理ホーソ君 物理法則変えるのは攻撃じゃないし存在より前に変化してるから無理 ×化学ホーソ君 科学ry ◯古代生物っぽい奴 停止させれば勝ち ×星野 畏怖して負け △ゼロ=ソバージュ 威圧VS時間停止 分け ◯くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」 ただたんにでかいだけ チャージなどさせるものかとかで攻撃させないし塵一つ残さず消滅させてやるとかで勝ち ×西日本ホンマモン協会 はなれすぎ任意全能で勝利負け ◯ウリエル 炎結界は攻撃 チャージなどさせるものかで永久攻撃キャンセルして勝ち ×きれいなジャイ子 美しさは攻撃じゃないが相手も畏怖して動けないがこっちが降参して負け ◯誘惑の落とし穴 ガスは攻撃 チャージなどさせるものかで永久攻撃キャンセルして勝ち △ビューティ 美しさは攻撃じゃないが相手も畏怖して動けない 分け △感覚を奪う成人男性 お互い動けない分け 位置はわからん 727 ◆RbJUF1jYv6 sage 2007/09/14(金) 22 39 14 木原なのは考察継承 常時発動能力の壁から下がる ×毒島葉月 オートなので無理 ○凡骨釜夫 威圧勝ち ○禍神 裕太 威圧勝ち ×ケンシロウ オートなので無理 △荻野 夏葉 互いに決め手なし △試練の鏡 互いに決め手なし ×ロック 効かないので負け ○物売るっていうレベルじゃねぇぞ! 威圧勝ち △モナカ 互いに決め手なし ×TATARI そのうち負け ○アストラナガン・インフィニティー 威圧勝ち ×ガブリエル 結界負け ○アスクレピオス 威圧勝ち ○伊菜・バウアー 威圧勝ち ○究極宇宙恐竜パワードゼットン+ 威圧勝ち 究○○○×○×△○×△△×○○×△△◯×◯×◯△×◯××物 アストラナガン・インフィニティー=ガブリエル=木原なのは
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/64.html
オートバイ 自動車と同様、水と触媒を燃料とした内燃機関を利用した二輪車。 飛行移動の一般乗用機の自粛が行われている主要世界において、市街地での移動手段の他、 趣味性の高い乗り物としても愛用されている。 一般販売車輌には転倒防止のための非常用オートジャイロやタイヤ空転の制御機能、 衝突時のフィールド発生等の機能搭載が義務づけられているが、それでも体が露出する乗り物であるため、 安全措置としてヘルメットやプロテクターの装備が推奨される。 人造魔導師 人間に対して、主に外科的な処置・調整によって、強力な魔力や魔法行使能力を持たせる技術。 魔法文化が全盛となって以来、幾度も試みられた研究で、最終的には生命操作技術によって適合性の高い「素体」を 作成するスタイルにまで到達したが、倫理的な問題などから次第に禁忌とされ、成功率の低さも相まって、 現在は「過去の技術」となりつつある研究。 拘束具 管理局員が使用する、物理拘束具。対象の動作と魔力発動を阻害し、行動を封じる。 運搬時は薄いボックス型にまとまっており、使用時には金具とベルトに展開させる。
https://w.atwiki.jp/heavymetaleye101/pages/89.html
KREATOR - ENEMY OF GOD 11枚目のアルバム。 資本主義や宗教によって戦争やテロが蔓延するこの世界をテーマにした世界観を主体に、ブルータルかつ叙情的でドラマティックなスラッシュメタルを奏でている。 激しいアグレッションとブルータリティを保ちながら力強くスラッシーに駆け抜ける①は、後半ではテンポダウンしながらドラマティックな展開を見せていく。劇的な色を見せるこの楽曲は初期の暴走スラッシュ期、メロディ主体のゴシック期等KREATORの持つ全要素の集大成ともいえるタイトルトラックだ。そしてテロリズムの恐怖を直で描いたかのような不穏なメインリフが特徴的な②はテロの狂気に満ちた雰囲気を前面に押すミディアムテンポの曲である。今作の代表ともいえる2曲だこの2曲でこのアルバムの方向性を上手く表しているように思えるのは自分だけだろうか。極端にアグレッシヴながらもドラマティックでメロディアスなのだ。メロディアスといえば近作はメロディックデスメタルの色合いを感じさせるような雰囲気が強く、⑥がその良い例とも言え、メランコリックなイントロから叙情性をフルに蓄えたギターメロディへの展開ががまさしく「それ」だ。 楽曲のギターソロも華麗で、流麗なソロ、狂乱ソロ、叙情的ソロ全てを上手くこなし、そしてさらに今作では叙情デスメタル界の雄、マイケルアモットが⑦にゲスト参加している。メロディアスでドラマティックな流れるようなギターソロは圧巻。 ミレ、そしてKREATORの「哲学者」としての才能が光まくった今作は最高のクオリティで完成されており、スラッシュメタルの暴虐性に叙情的なドラマ性を用いて現在社会・戦争の脅威を訴え続ける作品となっている。 ENDORAMA期などの音楽性も決して無駄にしないその作風は最高のクオリティとして仕上がっており、まさしくKREATORのジャーマンスラッシュメタルのヴェテランとしての力強さ・貫禄を見せ付けられた気分である。ここまで色濃いクオリティは彼らにしか出せない究極の作品である! ENEMY OF GOD IMPOSSIBLE BRUTALITY SUICIDE TERRORIST WORLD ANARCHY DYSTOPIA VOICES OF THE DEAD MURDER FANTASIES WHEN DEATH TAKES ITS DOMINION ONE EVIL COMES - A MILLION FOLLOW DYING RACE APOCALYPSE UNDER A TOTAL BLACKEND SKY THE ANCIENT PLAGUE TOXIC TRANCE{LIVE}(Bonus) COMA OF SOULS{LIVE}(Bonus) {初回特典DVD} IMPOSSIBLE BRUTALITY(VIDEOCLIP) MAKING OF IMPOSSIBLE BRUTALITY MAKING OF ENEMY OF GOD VIOLENT REVOLUTION{LIVE} PHOBIA{LIVE}
https://w.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/4978.html
Permanent card E.G.O 2F/1C [[ドロー]]+1 チャージ1 1:≪あなたの手札の[[スマイル☆シューター]]シリーズの[[パーマネントカード]]1枚≫と≪このカード≫を入れ替える。この[[エフェクト]]の[[コスト]]を“羽咲 ゆるな”、“鈴比良 あいり”、“秋山 麻柚”以外から支払うことはできない。 No.EXPR033 Rarity PR Illustrator 藤真拓哉 Expansion プロモカード カード考察 新春アクエリフェスタ2011上位賞PRカード スマイル☆シューター関連のコスチュームのひとつだが、お気に入りのキャラクターに着せてあげるのもオツだろう。